]世、裏の顔を知る。
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出るしかないな)
(う、うん。そうだね)
綾小路君と小声で話し合い、素直に出て行くことにした。
「ご、ごめんね? 同じクラスの沢田です」
「同じく、綾小路だ」
「! ツナ君……」
「桔梗ちゃんが俺の部屋に学生証端末を忘れてたから、届けにきたんだけど……」
桔梗ちゃんは、俺の顔を見た一瞬、すごく悲しそうな顔をした。しかし、すぐに冷ややかな表情に変わってしまう。
「……あ〜あ。ツナ君と綾小路君かぁ。まさか……ツナ君に聞かれちゃうとはなぁ〜」
そう言い俯きながら俺達のいる方へと歩いて来る桔梗ちゃん。
やがて俺達の目の前にやって来ると、学生証端末を奪い取り、ゆっくりと顔をあげてこちらを睨んだ。
その顔は、今まで見てきた桔梗ちゃんの笑顔とは到底結びつかないほどに憎悪に満ちたものだった。
「……誰かに話したら、容赦しないから」
「!」
「……」
桔梗ちゃんの怒っているような冷たい表情に、どこか悲しそうな感情が紛れている様に感じる。さっきの自分を誰にも知られたくないのだろう。
まぁ、当然かな。さっきの桔梗ちゃんを見れば、「いつもの桔梗ちゃんはなんなの?」って思ってしまうのは間違いない。
「何で黙るの? さっきの私を見て幻滅した? それか怖くなったわけ?」
「……そんなことないよ。わかってる。誰にも言わないよ」
「……俺も約束する」
誰にも言わない事を約束するも、桔梗ちゃんは納得できないかのように首を横に振る。
「……口約束なんて、私は信じない。ちゃんと担保をつけてもらわないと信じないから」
「……そ、そっか」
「……」
それにしても、担保か。
俺には本当に言う気なんてない。正直びっくりしたけど……こんな一面があるからって桔梗ちゃんに対する対応を変えるつもりもないし、人の秘密をばらしたりとかするつもりも俺にはない。
むしろ、知られたくない秘密を知られてしまった桔梗ちゃんに同情してしまっている自分がいる。
(秘密に対する担保は……やっぱり秘密がいいんじゃないかな)
これが担保になるかわからないけど、桔梗ちゃんがそれを望むなら答えないわけにはいかないだろう。
「……じゃあさ、俺の知られたくない秘密も桔梗ちゃんに教えるよ。もしも俺がバラすような事があれば、その秘密を桔梗ちゃんもバラしていい。それでどうかな?」
俺の提案を聞くと、桔梗ちゃんは少し考えてからこう答えた。
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