]世への刺客。
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北の言う通りでさぁ〜、俺ってあれなんだよね。昔から悪い奴を見過ごせないっていうか? 正義の血が騒いじゃう、みたいな? 俺って正義感強い一面があるからさ〜。沢田が悪い事をしてるなら懲らしめないと! って思ったんだよ」
「……じゃあ、なんで他のクラスからのタレコミって事にしたんだ?」
今度は綾小路君が質問を投げかけたようだ。
「それもあれだよ! 正義のヒーローって戦う姿を人目に触れさせないじゃん? だから俺も、別のクラスの奴が教えてくれたって事にしようと思ったのよ! ほら、俺って正義感強いタイプだからさ? ヒーローの美学的なモノを持ってるわけよ!」
この状況を俯瞰図にするとすれば、個人を大勢で断罪しているという構図になるはずだ。
なのに、山内君の態度が普段と何も変わらないことによって、『これも普段の山内のアホ発言か」という風に場の空気が持っていかれている気がする。
その証拠に、池君と須藤君はすでに表情がやわらかくなっているのだ。
「……あははっ、なんか山内らしい……勘違いって感じだな」
「だろ? 完全に勘違いだったんだよ! まじ悪かったよ沢田! でも許してくれるだろ? 俺達はもう友達なんだし!」
池君の発言によって、今回の件はちょっとした勘違いによる事故……という事にされてしまった。
こうなっては、これ以上追求しようとすれば、せっかく掴んだ池君と須藤君からの好印象が無駄になってしまうかもしれない。 2人共俺より山内君との方が友達として過ごした時間が長いから、そうなる可能性は高いと思う。
でも……さっき池君のメール画面を見た時の山内君の顔……
あれを見てから、山内君からどこか薄暗い影のようなモノを感じてしまっているので、正直言えばこの場で山内君の思惑を問い正したいのが本音だ。
しかし、そのせいで池君と須藤君からの印象が悪くなる方が、これからの学校生活に影響が出そうだ。
だから……ここは一先ず許してあげて、山内君のこれからの行動に注意する事にした方が良さそうだ。
「……う、うん。考えを改めてくれたなら、それでいいんだ」
「そうか〜! お前って本当にいい奴だなぁ! ほれっ、うりうり〜♪」
「あはは……やめてよもう〜」
俺に許すと言われた山内君は、俺の肩を抱いて顔に拳をグリグリと押し付け始めた。
普段だったら友達同士の悪ふざけで済ませられるけど、今の俺では山内君に何かされるのではないか……という心配をせずにはいられかった。
「はぁ……沢田君が許すと言うなら、私からはもう何も言わな
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