]世、中間テストに向けて奔走する。
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しれないけど……」
「……何?」
桔梗ちゃんが出て行った時から思っていた事があるんだけど、それを今から堀北さんに伝えようと思う。堀北さんは怒ってしまうかもしれないけど……言った方が堀北さんの為になると信じて!
「堀北さんの考えは間違ってると思う」
「……どこが?」
「他人の事を知りもせずに、簡単に決めつけて突き放してしまう所だよ」
「……それの何がいけないの?」
「それが……生徒会長も言っていた君の弱点だと思うからさ」
「!」
堀北さんの顔に陰りが出た。生徒会長に言われた事を堀北さんも気にしていたのだろう。
「私の弱点……ね。じゃあ、沢田君はどうするのが正解だと言うのかしら?」
「……それを話す前に、少し俺の昔話してもいい? 実は俺さ、中学一年の時は今よりもっとダメダメだったんだ。テストは全教科赤点だったし、運動もてんでダメ。友達も全然いないし、皆からはダメツナって呼ばれてた」
「……」
堀北さんは口を挟もうとせず、静かに俺の話に耳を傾けてくれている。
「そんなダメダメな俺でも、3年間で少しは変わる事が出来た。でも、それが出来たのは俺1人の力じゃない。俺の事を信じ続けてくれる人がいたからなんだよ」
「……信じてくれる人?」
「うん。こんな俺に勉強とかを教えてくれる奴がいてさ。そいつのおかげで俺も少しづつ変わっていって、気付いた時には友達も沢山できてた」
「……それは、その人がすごく優秀だったからだと思うわよ?」
「まぁ、それはもちろんなんだけど。俺的には少し違うんだよね。俺が変われた1番の要因は、そいつが俺の事を信じ続けてくれたからだと思うんだ」
「……信じ続けてくれたから? そんな見えないモノが大事だと言うの?」
「うん。そいつの指導方法はすごく厳しかった。さっきの堀北さんが可愛く見えるくらいにね。でも……そいつはどんだけ俺に呆れても、暴行したり罵ったりはしても、『お前には無理だ』とか、『どうしようもないから諦めろ』みたいな事は絶対に言わなかったんだよ。『いいからやれ、絶対に出来る、諦めんな、いいからやってみろ』って感じで俺を鼓舞するような事しか言わないんだ」
「……」
「指導に厳しさは絶対に必要だよ。でも、ダメダメだった俺からすれば、一番大事なのはその人なら出来るって信じ続けてあげることだと思う。自分が相手を信じているから、相手も自分を信じてついて来てくれるんじゃないかな」
俺の言葉を聞いた堀北さんは、悲しそうに顔を歪めている。
「……他人を信じる気持ちがない。それが私の弱点?」
「……俺はそう思うかな」
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