]世、仲間ができる。
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「うん、そうだよ。そいつに教わった体の鍛え方なんだ」
俺の答えに何かを思ったのか、櫛田さんは少しからかうような表情で更に聞いてきた。
「そっかぁ……じゃあさ、もうダメじゃなくなったのに、何で沢田くんは今も体を鍛えてるの?」
体を鍛える理由……これも俺にとっては一つしかない。少し気恥ずかしさを感じながらも、俺は櫛田さんの質問に答えることにした。
「……ん〜。大切な人を守りたいから、かなぁ……」
「……大切な人?」
「うん。家族とか友達とか……仲間とかをね。大切な人が困っている時に助けになってあげられるように、今も体を鍛えてるんだと思う」
俺の答えが気に入ったのか、櫛田さんは嬉しそうな笑顔になって、お互いの肩がくっ付きそうなほど接近してきた。
「そっか〜。あ、ねぇねぇ。それじゃあさ、私が沢田君の大切な人になれたとしたら、沢田君は私を守ってくれるって事?」
「え? う、うん。もちろん」
「私が助けを求めたら、必ず助けてくれる?」
「……うん。必ず」
「ふふふっ♪ そっか!」
そう言うと、櫛田さんは少し俺から離れてくれた。
(ほっ……あの距離は心臓に悪いよ)
なんて安心したのも束の間、櫛田さんはさらに俺の心を揺さぶる一言を放ってきたのだった。
「えへへ♪ 沢田君って優しいんだね! それにかっこいい!」
「ええっ!?」
衝撃の一言にあたふたして反応に困っていると、櫛田さんは「あははっ♪」と楽しそうに笑った。
「あははっ♪ も〜、かわいい反応するんだからぁ♪」
「だ、だってそんな事言われ慣れてないし!」
「うんうん♪ そういう事にしてあげようっ! あ、マンションついちゃったね?」
いつの間にか俺達はマンションの前に来ていたらしい。
櫛田さんは俺に手を振りながらマンションに入り口に歩いていく。
「付き合ってくれてありがとう! じゃあまた明日学校でねっ♪」
「う、うん。また明日……」
マンションへと歩いていく櫛田さんの背中を見送っていると、「あっ!」という一言を発し、くるっと回転してこちらに向き直った。
「ねぇ、沢田君!」
「ん? どうかした?」
「沢田君の事、ツナ君って呼んでもいいかな?」
「え!? う、うん。もちろん!」
「わぁ〜よかった♪ じゃあさ、ツナ君も私の事を桔梗って呼んでよ!」
「えっ!」
櫛田さんは俺が桔梗と呼ぶのを待っているのか、俺の事をじーっと見つめている。
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