第十九話 悪魔の正義その一
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第十九話 悪魔の正義
一行は今度はキリスト教の魔王、グリモワールに記されちている七十二柱の魔神達を前にしていた。
その魔神達の中から三つの首を持つ黒い鳥の姿をした魔神、ナベリウスという名の彼が言って来た。
「ではこの度の相手は我等だが何か思うことはあるか」
「何で悪魔がこの世界を護ってるか」
アレンカールが言ってきた。
「このことがでした」
「不思議だったか」
「子供の頃のあたいやとそう思ってました」
こうナベリウスに言うのだった。
「絶対に」
「そなたはキリスト教徒だな」
「カトリックです」
アレンカールは正直に答えた。
「宗教は」
「そうだな、キリスト教特にカトリックではな」
「悪魔は絶対の悪ですね」
「そう考えられている」
「そして教えられてますね」
「しかしだ」
それがとだ、ナベリウスはアレンカールに答えた。
「それはあくまでだ」
「キリスト教、カトリックの考えで」
「我等としては違う」
「悪魔にも正義がありますね」
「我々はそもそもキリスト教以外の宗教の神々でな」
「神の前を去った天使ですね」
「キリスト教の神とは違う立場でもな」
それでもというのだ。
「決して人を害したり世を滅ぼそうとはな」
「考えてませんね」
「自分達の信者を増やすことは考えていてもな」
「世界を滅ぼしたりは」
「全くだ」
それこそというのだ。
「考えていない」
「そうなんですね」
「あと魔界の繁栄もな」
自分達が今暮らしている世界のというのだ。
「考えているが我等にもモラルも法もありだ」
「正義もですね」
「あるのだ、そもそもなぜ悪魔が悪か」
「神に逆らうからです」
「神こそが唯一絶対の正義でないとな」
そう考えねばというのだ。
「その論理はだ」
「成り立ちませんね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「本来はな」
「そういうことですね」
「キリスト教以外の教えも存在していてだ」
この世にはというのだ。
「そしてだ」
「神もですね」
「他に存在していて正義もだ」
「存在していますね」
「だから我々悪魔もな」
「別にですね」
「悪かというとな」
そうした行いをしているかというのだ。
「別にだ」
「そやないですね」
「そうなのだ、我々も悪意を以て何かをすることはな」
「ないですね」
「そこは神霊の誇りを守ってな」
そうしてというのだ。
「人を守りだ」
「世界もですね」
「守っている」
そうしているというのだ。
「守護を務めている」
「神霊として」
「魔王とは悪魔の君主達だが」
ナベリウスは自分達のことをさらに話した。
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