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ハッピークローバー
第七十九話 夏の終わりでその六

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「今はな」
「絶対によね」
「手をつないでな」
 それでというのだ。
「いいだろ」
「キスは?」
 かな恵はこれを出した。
「いいの?」
「そ、それは」
 携帯の向こうでも赤くなっているのがわかる返事だった。
「ちょ、ちょっとな」
「駄目?」
「返事に困るだろ」 
 こう言うのだった。
「だからな」
「嫌なのね」
「それは十八からだろ」 
 また自分で決めたルールを出した。
「キスだって」
「そっちはなの」
「ああ、そりゃ俺だってな」
「そうしたこと興味あるわね」
「あるよ」
 鳴海も否定しなかった。
「それはな」
「そうなのね」
「けれどな」
 真面目な声で言うのだった。
「俺はな」
「十八までっていうのね」
「そうだよ。それまでだよ」
「それでそこから先は」
「二十歳からでな」
 それでというのだ。
「結婚してからは子供だろ」
「鳴海って真面目ね」
「だってよ、そうしたことってな」
 また顔を赤くさせて言った。
「ちゃんとしないとな」
「いけないのね」
「そうだよ、それでな」
「まあお母さんも妊娠とかは気をつけろって言ってたけど」
「妊娠!?」
 その言葉を聞いてだった。
 鳴海は一瞬焦った、だが自分の言葉を思い出して言った。
「いや、結婚してからはな」
「いいっていうのね」
「それからはな」
 こう言うのだった。
「いいか」
「それからはなのね」
「ああ、それでな」
 かな恵にさらに話した。
「今はな」
「キスもなのね」
「とてもな」
「私がいいって言っても?」
「かな恵がかよ」
「そこから先もね。ゴムね」
 今度はかな恵が赤くさせて言った。
「あるわよ、買ったから」
「それってまさか」
「そうした時に備えてね」
「買ってかよ」
「用意してたのよ、備えあればっていうでしょ」
 かな恵はこのことは真面目な顔で話した。
「だからよ」
「それでか」
「そう、あるから」
 だからだというのだ。
「鳴海っちさえね」
「ってかな恵はいいってことか」
「妊娠しなかったらね」
「いや、それでもな」
「そうしたことはなのね」
「まだな、まあそれでもな」
 鳴海は何とか落ち着きを取り戻そうと心の中で必死に格闘しつつ答えた。実はあれこれ考えて大変な状況なのだ。
「俺はな」
「だったらいいけれどね」
「しかしかな恵がそこまで考えてるなんてな」
「だって高一よ」
 かな恵はそれ故にと答えた。
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