第百話 夏の終わりその五
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「幾ら何でも」
「咲にしてみれば考えられないわね」
「とてもね」
それこそという返事だった。
「私からしてみたら」
「そうよね、けれどね」
「それでもなの」
「そんな人もいるのよ。浮気したり一度に何人もとか」
「何人もなの」
「ムスリムの人だと四人までならね」
「ああ、あそこはね」
咲もこのことは知っていて言うことが出来た。
「そうよね」
「奥さん四人まで持てるでしょ」
「そうなのよね」
「それでそんな人もいるのよ」
「一度に何人も」
「そうよ」
こう娘に話した。
「世の中にはね」
「一度にお付き合いする人もいるの」
「そうなのよ」
「所謂ハーレムね」
「もてる人もいてね」
「一度に何人もなのね」
「そんな人もいるのよ」
咲に笑って話した。
「まあ普通浮気でね」
「おじゃんよね」
「けれど中にはよ」
「そんなことする人が実際になのね」
「いるものよ、どっちかっていうと男の人で」
「いるのね」
「多いみたいよ、そうね」
母は笑ってこんなことも言った。
「ライオンやオットセイみたいに」
「ああ、どっちも群れはね」
「そうでしょ」
「雄が一匹で」
「他は雌とでしょ」
「子供ね」
「そうした感じでね」
そうした生きものの群れの様にというのだ。
「一度に沢山の女の人とね」
「付き合う人もいるのね」
「それで女の人達もね」
母はここではあえて一人称を用いず話した。
「そのことを納得して」
「お付き合いしてるのね」
「その人とね」
「私ゲームではよくそうした設定見るけれど」
特に恋愛育成ゲームでだ、咲はこうしたジャンルのゲームもプレイしていてそれでわかっているのだ。
「けれどね」
「それでもでしょ」
「現実にもそんな人いるのね」
「流石に凄く少ないけれどね」
それでもというのだ。
「いるのよ」
「修羅場にもならないで」
「そうよ」
「ううん、その人が納得しているならいいけれど」
それでもとだ、咲は言った。
「私はね」
「咲はそういうの無理でしょ」
「絶対によ」
母にそれこそと答えた。
「受け入れられないわ」
「そうよね、あんたは」
「本当に無理よ」
あんなものはというのだ。
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