神・英雄・人
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<サマンオサ>
「あのねフィービー…君が僕の事を尊敬してくれるのは嬉しいんだけど、この絵の僕はまるで神様みたいに描かれてるよ!止めてくんない!?」
目の前に座る絵の作者…フィービーに向かい、辟易した表情で懇願するリュカ。
「何で?リュカは私にとって英雄よ!この国の救世主よ!神と言っても良いくらいよ」
フィービーの言い分は妥当な物だ…
今この国でリュカは、精霊神ルビスより知名度が高く、国を正し民を救い悪を倒す超常的存在に昇華されているのだ。
「それは違うよ…僕は人だ!なんの力も持ってない平凡な人間なんだ!」
「そんな事無いわ!リュカは私達を…この国を救ってくれたじゃない!力無き者に出来る事では無いわ!」
盲目的にリュカを崇める彼女には、効果の薄い台詞な様子…
「はぁ…違う違う…違うよ!もし僕が神ならば、この国があんな酷い状況になる前に何とかしたんだ…そこのバカ王が変化の杖を奪われ、王位をも奪われた時に現れて、あのバケモノを倒したんだ!そうすれば力無き弱者が虐げられ、フィービー…君の様な娘を不幸にする事も無かったんだ!」
サマンオサ王の前で、バカ王と侮辱しても誰も怒らない。
皆黙って聞いている。リュカの存在とは何なのかを考えている。
「僕を神として人々に知らしめる事は酷い侮辱なんだ…いい加減不幸の極みで現れて、怒りに任せてバケモノを倒し、復興を手伝わずに帰って行く…そんなの神じゃ無い!そんなの英雄じゃ無い!…でも人ではある。自分の手の届く範囲でしか物事を解決出来ない凡庸な人間だ!」
「でも…リュカが居たから…リュカがこの国に来てくれたから、私達は今生きている…それは事実よ」
当然ながらフィービーも引かない。
周りにいる王様や大臣等も、フィービーの意見に大きく頷く。
「神とは…誰にも出来ない事をやってのける存在だ!僕のやった事は、僕じゃなくても出来る事…バケモノと戦う力さえあれば、誰が行っても良かったんだ。ただ偶然…本当に偶然僕がこの国へ訪れ、あの惨状を目の当たりにし、怒りを滾らせたからこうなっているだけなんだ」
「……………」
フィービーは何も言わない…納得したからではなく、納得は出来ないが、リュカの言い分も理解出来るから…
「はぁ……」
その事が分かるリュカは、大きく溜息を吐き自分の過去を語り出した。
「僕はね…目の前で父親を殺されたんだ………」
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自分が人質になってしまたが為に、目の前で殺される父の事…
まだ幼き頃より、10年間もの奴隷としての人生…
結婚し、子供が産まれたその日に、愛する妻を攫われ、救い出す事も出来ず8年間石にされた事…
「………だから僕は神など信じない。もし神が居るのなら、此処まで酷い事をされたのは何故だ?せめてビアンカを攫うのを防
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