神・英雄・人
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いでくれても良いじゃないか!8年間も石になる事を防いでも良いじゃないか!だが実際は何もしてくれなかった…何故なら、神など存在しないから!」
静まりかえる会議室には、リュカの静かな声だけが響き渡る…
リュカの過去に…リュカの苦労に…そしてリュカの思いに押し潰されそうになるフィービー達。
「フィービー…僕の事を描くなとは言わない。でも描くのであれば、僕を人として描いて欲しい。僕は多少人より戦えるだけであって、神でも英雄でも勇者でも無い…直ぐに感情に流され、善悪を見失い、利己的な事しか考えない臆病な人間だ。正義の心に動かされてこの国を救ったのではない…弱者を虐げるクズ共に、同じくらいの苦痛を与えてやりたいと思う邪悪な心から戦ったんだ!結果が同じなだけで、この絵の様な人物など存在しなかったんだよ…何故なら僕は人だから…ただの人なんだからね」
リュカはフィービーの頭を優しく撫で、優しい口調で自分を語る。
彼女は尊敬するリュカの事を理解する事が出来てなかった自分が恥ずかしくて泣いていた。
だが、そんなフィービーを責める者は誰も居ない…解らなくて当たり前なのだ。
重要なのは、解ったこれからをどうするかなのだから。
「よし!ワシからお触れを出すとしよう。『リュカはこの国の英雄であって、神ではない!必要以上に神聖視する事はリュカに対する侮辱であり、本人の望むところではない!救国の英雄に対する無礼は、国家に対する不敬である』と…どうかね?」
サマンオサ王からの提案に、
「う〜ん…『英雄』と言うのが嫌だが…まぁしょうがないか」
と、渋々ながら承諾する。
そしてやっと会議室に落ち着いた雰囲気が戻ってきたのだ。
「してリュカ殿…本日の来訪はどの様な用件ですかな?絵の事だけとは思えませんが…」
そうリュカは…いや、アルル達はサマンオサに、最終決戦前の挨拶へと訪れたのだ。
リュカの怒りに当てられて、すっかり挨拶を忘れていたアルル達…
慌てて恭しく挨拶するも、王様も家臣の方々も全く気にすることなく低姿勢で接してくれる。この場で一番偉そうなのはリュカだけだ。
「あ、そうだ!おいカンダタ…この絵を美術店に返してこいよ!」
「はぁ?何で俺がパシらにゃならねーんだ!?旦那が返すって言ったんだから、旦那自らが行くべきだろう…あの店主はくれるって言ったのに、頑なに断ったのは旦那なんだから」
「うるせー!今僕はこの国の国王陛下と大事なお話をしている最中だろ!それとも何か?王様より下町の商人を優先しろと言うのか?それがお前の考えか?」
一切恭しい態度を取らないクセに、面倒事を回避する為なら如何様にでも口が回る男。
今リュカが城下へ行けば、また人集りが出来、面倒な事この上ないのは明らかだ。
そんな状況にリュカが飛び込む訳もなく、リュ
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