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第十八話 秘密その十

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「実は父さんのこともな」
「知らんかったんか」
「全くな」
「姉さんは言わなかったのよ」
 女は神威にあらためて言ってきた。
「貴方にね。最後に少しお話したと思うけれど」
「天の龍と地の龍の戦いのことをだな」
「この世界を賭けたね」
「詳しくは言ってくれなかったが聞いたから戻った」 
 これが神威の返事だった。
「俺もな」
「この東京にね」
「そうしたが」
「それでは剣のことも聴いていないわね」
「二本あるそうだな」
「ええ、そうよ」
 女はその通りだと答えた。
「そして貴方もね」
「二本のうちの一本をだな」
「持つことになるわ」
「それが俺の運命か」
「そしてその運命の中に私もいるのよ」
 女は神威に微笑んで話した。
「私、真神時鼓もね」
「それが貴女のお名前ですね」
 嵐が問うた。
「本名ですね」
「ええ、姉さんの本来の姓もね」
「真神ですか」
「そうだったのよ」
「それでは結婚されて」
「司狼になったのよ」 
 この姓にというのだ。
「そうなったのよ」
「そうでしたか」
「神威、時が来れば貴方は私が剣を授けるわ」
 時鼓はまた神威に告げた。
「その時を待っていてね」
「あんたがか」
「その時にまた貴方の前に姿を現すわ」
「それは何処だ」
「桃生神社がいいわね」 
 時鼓は自分から言ってきた。
「その場所はね」
「あの神社を言うとなると」
「勿論あの神社のことも知っているわ」
「そうなのか」
「あの神社にあった剣のこともね」
 こちらのこともというのだ。
「知っているわ」
「そうなのか」
「だからね」 
 それでと言うのだった。
「時が来れば全てお話するし」
「俺に剣をか」
「授けるわ、何時あの神社で会うかも」
 このこともというのだ。
「今お話するわね」
「そうしてくれるか」
「ええ、その時は」  
 時鼓は神威にその話をした、そして。
 それが終わってだ、あらためて微笑んで言った。
「またお会いしましょう」
「その時にだな」
「それまで私は時間があるけれど」
「時間?」
「大事な時だから」
 それ故にと言うのだった。
「その時まで身を清め慎むわ」
「そうするのか」
「ええ、ではね」
「今はか」
「穏やかにするわ」
 こう言ってだった。
 時鼓は教会を後にした、火煉は彼女を見送ってから仲間達に話した。
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