人間とドラゴン
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!』
『ふ・・・ふとどき者!!』
『まぁ落ち着いてくれ。ナツは私の仲間だ』
『そーゆー問題じゃねぇ!!』
ナツさんの登場で大パニックの女湯。音から推測するに彼は今女性陣にボコボコにされているのだろうけど、それを見ているセレーネの笑い声が微かに聞こえた。
『男も女も人間もドラゴンも、違いがあれど会話が出来るではないか・・・私の話を聞いてくれ、エレフセリア。そなたの100年の想いのためにも・・・』
ボロボロになったナツさんが男湯に戻ってきたところで二人がなぜここまでいがみ合うのか、教えてもらった。
元々魔導士ギルドは迫害を受けてきた魔導士たちを守るために作られたこと・・・その力で救ってほしいと願う者もおり、それにより今のような依頼を受注するシステムができたこと・・・その依頼を遂行するために向かった魔導士たちがギルティナ大陸でいまだに生き残っていたドラゴンたちに遭遇し、戦いを挑んだところ返り討ちに合い命を落としたこと・・・そのドラゴンたちを倒すために滅竜魔法を独学で修得したこと・・・ドラゴンたちと戦えるようになった頃、今の五神竜・・・当時は六神竜と呼ばれた脅威的な力を持つドラゴンたちが現れたこと・・・そのドラゴンたちに滅竜魔法を修得した者たちも歯が立たなかったこと・・・エレフセリアさんが心臓を犠牲にしながらそのうちの一頭、土神竜ドグラマグを倒したこと・・・そして他の五神竜を倒すことを未来の魔導士に託すためにクエストにしたこと。
「そして今・・・妖精の尻尾の魔導士たちによって二頭の神竜が封じられた。そして三頭目が目の前にいる」
『確かにそうね。でも、勘違いがないようにこれだけは言っておくわ』
セレーネが何を伝えようとしているのか、全員が耳を傾ける。
『私は人間が好きなのよ』
「なんじゃと・・・」
思いもよらない発言に俺たちは顔を見合わせた。しばしの静寂が流れた後、セレーネは言葉を紡ぐ。
『それは大勢殺してきたけど、それは相手が"人間"だったからじゃない。私の命を狙ってきた"敵"だったからよ。それが猫でもドラゴンでもそうしていた・・・生きるために。人間は愚かな生き物だと思っているわ。常に争い常に人より上に立とうとする。憎しみ合い殺し合い短い命を使いこなせていない、だけどここまで繁栄してきた。
そのちっぽけな命の中には生命力が溢れている。愚かでありながら人を愛し喜び合い、未来を夢見る・・・
ドラゴンと同じではないか・・・』
セレーネが五神竜を倒して人間として生きたいと考えたのは、そういうあらゆる時代を見てきたからなのだと理解した。それこそが彼女の原動力であり、行動理念なのだと。
『だから私は決めたのよ。この
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