286 奪取は失敗す
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藤木救出班、そしてありやみゆき、鈴音、奏子などりえを探す者達は林の所にて集合していた。
「それで藤木君は戻るの嫌がってたのね」
ありは状況を整理していた。
「はい、ごめんなさい、あと一歩でりえちゃんも取り返せると思ったのに・・・」
かよ子は謝罪した。
「ううん、私達の方ももっと早く来るべきだったわ。ごめんね、負担かけさせて」
ありの方も謝罪した。
「でも、かよちゃんの杖、前より強くなったのね。白魔術使えるなんて」
奏子はかよ子の杖が強化されたという報告を聞いたので凄いと思っていた。
「あ、そうだ、かよちゃん。俺の知り合いの長山治君にりえちゃんって子がどうしているのか解るかもしれないってミカワが言ってたが、俺達も治君を頼っていいのか?」
「長山君を・・・?うん、いいと思うよ。長山君にも頼んでみるよ!」
「ああ、ありがとう」
「ここにはもう残党はいないようだし、夜中になったから皆休みましょ」
ありは提案した。皆は廃墟と化した紂王の屋敷で休むのだった。
藤木は妲己と紂王、そして命からがら逃げてきた遊女や兵士の残兵と共に北へと逃走していた。
「妲己さん、紂王さん・・・」
藤木はぼそっと二人の名を呼んだ。
「どうしたのかね?」
「もう、りえちゃんは諦めます。『向こうの世界』の子からは好きになってもあっちから嫌われるだけですから・・・」
「そうか、残念だったわね。済まないね、私達の方が辛い思いをさせて・・・」
「それから、僕・・・」
「何かね?」
「もっと強くなりたい、です・・・。あの山田の杖とかみたいな何か便利な武器とか道具が欲しい・・・。皆に戦わせてばかりでいつも自分は逃げてばかりですから、卑怯なんて、言われたくないんです!」
「そうか、卑怯と呼ばれたくないとな・・・。その気持ちはよく解る。坊やの専用の武器を造ってあげようではないか。如何ですか、紂王様?」
「そうだな、少年も我々の戦力になれると頼もしいし、新たな嫁ができる時は別れる事なく、少年を本気で虜にするだろうな」
「そうだ、坊やの新しい嫁も用意しなければ・・・。まあ、また選べないであろうから、私が新たに候補を作ってそこで競い合いをさせて一番になった者を嫁とさせてあげよう。そうすれば坊やも迷う事はないかな?」
「は、はい・・・」
「今迄の遊女よりも更に強い我が手下が北の方にいる。そちらの者に頼ろう」
(もっと強い女の子、か・・・。僕も強くなれるかな・・・?)
ある場所で、一人の少女が絶望しながら泣いていた。
(藤木君・・・)
笹山かず子は嘗ての罪を許そうとして会いに行った少年から戻る事を拒否された。これから先、どうすればいいのか。
(フローレンスさん、私、藤木君に嫌われました・・・。先に嫌ったのは私だけど・・・。どうすれば
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