第七百話 工作員の表の仕事その一
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工作員の表の仕事
大尉と上等兵は日本では教会の神父とその助手ということになっている、エウロパ政府がバチカンに頼んでそうした職業にして連合に送り込んでいる。
だが大尉はその教会で上等兵に言った。
「私はルター派でだ」
「オーディンを信仰されていますね」
「そしてアテナもな」
こう言うのだった。
「カトリックとは違う」
「私も国教会ですから」
上等兵も自分の宗教の話をした。
「あとヘルメスを崇拝していまして」
「カトリックとは無縁だな」
「はい」
そうだと答えた。
「私は」
「それでもだな」
「任務となれば」
「宗派の違いもな」
「気にしないことですね」
「潜伏するにはな」
それならというのだ。
「こうしたこともだ」
「当然ですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「思うところがあるがな」
「連合では神父と牧師の違いがですね」
「わからない人間もいる」
「そうですね」
「神父はカトリックだ」
こちらの宗派だとだ、大尉は言った。
「そして牧師がプロテスタントだ」
「そうですね」
「かつては戦争もやった」
「キリスト教徒同士で」
「異端と言い合ってな」
「三十年戦争等ですね」
「連合では宗教で衝突はしない」
自分達が潜伏しているこの国ではというのだ。
「全くな」
「それで我々の宗教戦争の歴史も馬鹿にしていますね」
「同じ宗教の中で殺し合ったとな」
「それもあからさまに」
「しかし違うのだ」
大尉は強い声で語った。
「全くな」
「カトリックとプロテスタントは」
「それでだ」
「大尉も神父になられるにあたって」
「色々不安だった」
こう上等兵に話した。
「行うことに違いが出てな」
「そこからスパイとばれるのかと」
「そうだった」
「そうでしたね」
「しかしだ」
「連合ではですね」
「特にこの国ではな」
日本ではというのだ。
「キリスト教の宗派ごとの違いにな」
「無頓着ですね」
「カトリックの信者がだ」
この立場の者達がというのだ。
「キリスト教式の結婚式をしたくてだ」
「神父がいないなら」
「牧師を呼んでだ」
「普通に行いますね」
「それを誰もだ」
連合ではというのだ。
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