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第十八話 秘密その二

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「しかしな」
「それでもですか」
「俺はあくまで俺だ」
「人の心をですね」
「何があっても保ってだ」 
 そうしてというのだ。
「神威を護るしな」
「彼女もですね」
「護る」
「そうしますか」
「地の龍になってもな」
 例えなろうとも、というのだ。
「あいつを護る、殺すなぞだ」
「断じてもですか」
「しない、何があってもだ」
「人の心はですか」
「護る、神威と約束したからな」
「そうですか、ではです」
 牙暁はここまで聞いてだった、まずは目を閉じた。
 そのうえでだ、前に右膝を立て黒い所々に白い水滴が滴り落ちている空間の中に座っている封真に話した。
「そうされて下さい」
「いいのか」
「僕は地の龍です、ですが」
「それでもか」
「出来れば誰もです」
「死んで欲しくないか」
「僕なりに世界を愛しています」 
 だからだというのだ。
「そしてです」
「人間もか」
「はい」 
 そうだというのだ。
「僕の様な考えは地の龍では少ないですが」
「あんただけじゃないんだな」
「もう一人おられます」
「そうか、もう一人いてくれているんだな」
 封真は牙暁の今の返答に微笑んで応えた。
「それはよかった」
「ですが」
「貴方とその人だけか」
「他の人は特にです」
「何も思っていないか」
「人間を憎んでいませんが」
 それでもというのだ。
「そうした運命だとです」
「考えているか」
「はい、そして僕は」
 牙暁は封真にさらに話した。
「運命はです」
「変わらないか」
「そう考えていました」
「過去形だが」
「今は揺らいでいます」 
 その考えがというのだ。
「貴方のお父上のことから」
「父さんか」
「今入院しておられますね」
「命に別状はない、けれど」
 それでもとだ、封真は牙暁に答えた。
「まだな」
「入院中ですね」
「退院まで暫くかかる」
「実はあの時にお父上はお亡くなりになる筈でした」
 鏡護、彼女はというのだ。
「その筈でした」
「そうだったのか」
「運命では。ですが」
「運命が変わったんだな」
「これまで運命は絶対と思っていました」
 目を閉じてだ、牙暁は話した。
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