第十八話 秘密その一
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第十八話 秘密
この夜封真の夢にだった。
牙暁が出て来た、封真は彼を見てすぐにわかった。
「地の龍の」
「はい、僕は地の龍の一人でして」
「夢見か」
「そうです、貴方はです」
「わかっている、添え星だな」
封真は澄んだ顔をやや俯けさせて応えた。
「神威の」
「もう一人の神威であり」
「そしてだな」
「神威は一つの道を選べば」
「俺はもう一つの道に進む」
「そうなります」
こう言うのだった。
「ですから普通にです」
「天の龍とも地の龍ともだな」
「巡り合い」
そうしてというのだ。
「そしてです」
「そのうえでだな」
「彼女の犬も見えていましたね」
「犬鬼だったな」
封真は護刃に教えられたその名前を自ら出した。
「そうだな」
「はい、言えるからには」
「ああ、見えている」
はっきりとした返事だった。
「最初からな」
「そうですね、そして貴方のお力も」
「生まれた時からのこれもな」
「その常人離れしたものも」
それもというのだ。
「まさにです」
「俺が添え星だからだな」
「はい、そしてです」
牙暁は封真の前に立ってさらに言った。
「彼が天の龍の道を選べば」
「俺は地の龍になりな」
「彼が地の龍を選ばば」
「俺が天の龍になる」
「そして地の龍はです」
そちらの道ではというのだ。
「彼女を殺します」
「その最初にだな」
「彼女は運命の犠牲者になるので」
「それがあいつの運命か」
「ですから両方の龍が揃えば」
その時にというのだ。
「地の龍の神威は人の心を失い」
「人を滅ぼす存在となりか」
「その手はじめ、地の龍になった儀式として」
「それでだな」
「彼女を自らの手で殺します」
「俺か神威がか」
「はい」
こう封真に答えた。
「そうなります」
「神威はそんなことはしない」
確信を以てだ、封真は牙暁に顔を上げて答えた。
「何があってもだ」
「彼女を護ると言ったので」
「俺とな、だからな」
それ故にというのだ。
「あいつは大丈夫だ」
「地の龍となってもですか」
「俺と約束したしな」
「だからですか」
「それにあいつは常に自分を失わない」
こうもだ、封真は話した。
「それこそな」
「何があっても」
「そうした奴だ、あいつは大丈夫だ」
「何があってもですか」
「小鳥を護る、殺すことはだ」
「決してない」
「そうだ、そして俺もだ」
封真は自分のことも話した。
「同じだ」
「ご自身をですか」
「保つ、俺が地の龍になればか」
「その時は貴方がです」
「そうだな、だが神威に誓った」
封真は言い切った。
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