第二章
[8]前話
「ある程度知能があったらな」
「夢は見るか」
「そうだってな」
「親父聞いたんだな」
「ああ、だから今ふわり寝てるからな」
今も丸くなっている、耳を澄ませば寝息も聞こえる。
「スーーーー・・・・・・スーーーー・・・・・」
「若しかしたらな」
「夢見てるか」
「そうかもな」
こう息子に話した。
「今丁度な」
「そうなんだな」
「ふわりも同じなんだ」
ここで父は息子に強い声で話した。
「生きていて夢も見るな」
「同じ生きものか」
「そして家族なんだ」
こう言うのだった。
「そのことはな」
「絶対に忘れたら駄目だな」
「ああ、忘れたらな」
その時はというと。
「わかるな」
「あの人達と同じになるな」
「ふわりを捨てたな」
まさにというのだった。
「あいつ等とだ」
「同じになるな」
「犬も生きているんだ」
「そして夢を見るな」
「それを忘れたらな」
その時はというのだ。
「本当にな」
「ああなるんだな」
「犬はそうした意味でもおもちゃじゃないんだよ」
夢を見るということからもというのだ。
「くれぐれもな、そのことを忘れないでな」
「これからもふわりと一緒に暮らすんだな」
「家族としてな、じゃあふわりが起きるからな」
父は自分達の家族を優しい目で見つつ話した。
「静かにしような」
「そうだな、ゆっくり寝かせてやらないとな」
「ここを離れるぞ」
「わかったよ」
洋介は父の言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
実際に二人一緒にふわりの前から離れた、その時ふわりは楽しそうに笑った。夢を見てそうしたが二人はそれを見てもそうだろうなとしか思えなかった、だが夢を見ているのだろうと思って自然と笑顔になった。
モノクロドリーム 完
2023・5・23
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