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おっちょこちょいのかよちゃん
285 ならば強くなれ
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子は羽根を進めた。

 三河口は鎖鉄球をまた振り回す。そして見聞の能力(ちから)で感じる方向に飛ばした。案の定、鉄球が飛んだ方向に敵はいた。
「おおっと、危ないね!」
 三河口、湘木、冬田の三人は敵の近くへと接近した。
「お前か、藤木って奴をこの世界に連れて来たのは」
「ならばどうするという?」
「殺すのは惜しい。杯は何処にあるの答えて貰おう」
 三河口は鎖鉄球を女に巻き付けた。
「ふ、そんな事をして私が言うと思うか?」
「おい、お前、妲己を離せ!」
 もう一人の男性が鎖鉄球の鎖を刀で切ろうとした。しかし、三河口は鎖鉄球を自分の方に寄せて妲己を近づけた。
「離して欲しくば杯の行方について知ってる限りの事を話せ」
「紂王様!」
「妲己・・・!」
 紂王は迷った。杯の場所を言わないと自分にとってお気に入りの妲己が殺される。
「ちゅ、紂王様・・・」
 妲己は威圧の能力(ちから)を喰らう。妲己の勢いは失われ、九尾の狐に変化できない程に弱まった。
「安心しろ。手加減はしてやる。寧ろ気絶させるとネタが取れないからな」
「な、誰か話すか!」
 紂王は三河口に攻撃する。だが、湘木が斧から蔓を出して紂王を拘束した。
「俺もいる事を忘れるなよ」
 紂王と妲己、身動きをどちらも封じられた。
「早く言わんとおたくのオキニの女はこのままいたぶられるだけだ。杯は今誰が持ってる?何処へ持っていった!?」
「・・・!」
 紂王も妲己も本来は抵抗したかった。だがこの高校生男子の威圧の能力(ちから)がそうはさせないのだ。
「わ、解った、言う・・・!!」
 紂王は苦し紛れに答えた。
「前に杯の所有者とあの少年の祝言を挙げた時、あの小娘のいる所と同じ所にあると危険と思い、ある人物に渡した・・・」
「『ある人物』だと?何て名前だ?」
 湘木は紂王に尋問した。
「よ・・・、煬帝・・・」
(ヨーダイ・・・?)
「そうか」
 三河口は妲己を解放させた。
「湘木、冬田さん、撤退するぞ」
「え?倒さないのお?」
「それだけ分かればいい。こいつらが嘘ついてる可能性もゼロとは言い切れんがな。それにもっと面倒臭い奴が来ているからまともに戦っても勝てん」
(大野君にもう一度会いたかったのにい・・・)
 冬田は大野に会いたいという気持ちを押し殺して三河口と湘木をまた羽根に乗せてその場から退いた。そしてすぐ紂王と妲己の所にレーニンが到着した。
「貴様ら、無事かね?」
「レーニン様・・・」
「では、杖の所有者よりも先に小僧を回収するぞ」
「はい!」
 三人にして四人は藤木を探しに急いだ。

 かよ子と次郎長は藤木の回収に急ぐ。そして屋敷の敷地外の林に辿り着いた。
「やっと着いた!」
 そしてかよ子は一人の少年がしゃがみ込んでいる
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