284 吸収による強化
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三河口は睨んでいた。
(こ、この少年、怖いぞ・・・!)
友蔵はこの高校生に自分の孫が制裁を喰らうのではないかと恐れた。現に彼は全員が出発する日にフローレンスに我儘を言っていた冬田に激しく叱責している。
「た、頼む、儂が命を張ってまる子を守る!どうか、まる子を許してやってくれ〜!」
友蔵は土下座のまま許しを求めた。三河口は友蔵の方を見る。
「・・・、自分の立場を考えろ、アホジジイ」
「・・・な!?」
「アンタは選ばれて来たわけじゃない。フローレンスとイマヌエルの恩情でこの世界に入れて貰えただけだ。自分は引率の役目すらなっていないし、何もできていないだろうが」
「儂は、その、まる子を守る為にいるんじゃ!!」
三河口は友蔵と話が全く噛み合っておらずこれ以上話しても無駄だと思った。
「ちょっと、さくらさん達を大野君達の所へ連れて行きましょうよお」
「そんな暇はない。じいさん」
三河口は友蔵の胸ぐらを掴んだ。
「アンタは自分がこの世界での戦いを終わらせるために、それから日本が戦争への道に行かせない為に何ができるのかを全くわかっていない。そんな奴はこの戦いに関わるな。孫と一緒に元の世界に帰った方が身の為だぜ」
三河口は友蔵を離した。
「冬田さん、藤木を連れてった女を探して追うぞ」
「え?あ、うん・・・」
冬田は命令されるがまま三河口と湘木を乗せて羽根に飛び立った。
「あ、待って、連れてってよお〜」
まる子は止める間もなく、冬田達は行ってしまった。
藤木は必死で走った。
(誰も来ないでくれ・・・!!)
そう思いながら逃げた。何しろ今の自分にはこれしかできなかった。だがもうこれ以上走れなかった。
「もう、ダメだ・・・」
藤木はその場で疲れて座り込んでしまった。そして今までの事を振り返る。一緒に遊んでいた遊女や兵士達は殺され、自分を連れて返そうとする輩が乗り込んできた。そしてりえからは急に嫌われた。楽園は一気に地獄と化した。
(う・・・、何だよ、笹山さん達まで帰ろう、帰ろうだなんて・・・!!いなくなってせいぜいしてるんじゃないのか・・・!?)
その時、何かが飛来した。
「ひっ・・・!」
藤木は慌てて逃げようとしたが、逃げ切れなかった。その場に着地したのは一人の高校生の男子だった。
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