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八条学園騒動記
第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その十一
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「易姓革命の国だからな」
「政権交代と同じ感じで、ですか」
「皇室も変わる、しかしな」
「それでもですね」
「この国はな」
「四千年の間ですね」
「皇室が存在している、国力も高いしな」 
 このこともまた言うのだった。
「これだけ忌まわしい国はだ」
「他にはないですね」
「連合でもな」
「アメリカや中国がよくそう言われますが」
「私にとっては日本こそがだ」
 まさにというのだ。
「そうした国だ」
「最も腹立たしく」
「嫌悪を抱くな」
「そうした国であり」
「今赴任してな」
 工作員としてというのだ。
「前から嫌っていたが」
「今はですね」
「尚更だ」
「その嫌悪を強くされていますか」
「そうだ、それにこの星系だが」
 自分達が今いる星系の話もした。
「八条家の本拠地だな」
「あの男の家ですね」
「八条義統のな」
 八条グループの後継者であり連合中央政府国防相である彼の名を出した。
「あの男だ」
「そうですね」
「日本も忌々しくな」
「日本人もそうであり」
「その日本人の中でもだ」
「とりわけですね」
「私がこの世で最も嫌いな人間だ」
 大尉はワインを飲みながら忌々し気に語った。
「彼はな」
「その八条義統のお膝元ですね」
「この星系はな」
「そこに赴任して」
「情報収集を行っているがな」
「忌々しいとですか」
「思うことが多い」
 実にと言うのだった。
「何かとな」
「そうなのですか」
「全く、しかもな」
 大尉はさらに言った。
「暮らしやすい、連合の中でもな」
「日本という国は」
「大国だけあってな」
「そうですね、生活が全くです」
 実にとだ、上等兵も話した。
「違います」
「エウロパと比べてな」
「技術が違いまして」
「豊かさがな」
「それで、ですね」
「実に暮らしやすい」
「そうした国ですね」
「連合全体がそうだが」
「日本は特に」
「そうした国だ、そしてな」
 それにと言うのだった。
「このワインにしてもソーセージにしてもな」
「美味しいですね」
「ずっといたい位だ」
 日本にというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「尚更忌々しい、忌々しいことがだ」
 まさにとだ、飲みつつ話した。
「多い」
「そうした国ですね」
「困ったことだ」
 こう言ってだった。
 大尉はまた飲んだ、そして飲み終えると上等兵に話した。
「寝るか」
「そうですね、今日も」
「明日も仕事だ」
「そうしましょう」
 こう話してだった。
 二人はそれぞれのベッドに入った、連合特に日本に対して忌々しさと暮らしやすさを感じつつ彼等の仕事をしていくのだった。


エウロパ工作員の苦悩   完


    
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