第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その九
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「全くわからない」
「文章が難し過ぎて」
「芥川は抜群の知識と教養とだ」
この二つの加えてというのだ。
「頭の冴えを備えていたそうだが」
「兎角頭はよかったのですね」
「今だとな」
この時代ならというのだ。
「ノーベル文学賞もな」
「連合の方の」
「エウロパにいてもな」
「エウロパの方のですね」
「受賞していた」
そうだったというのだ。
「ノーベル賞も分裂しているが」
「今ではですね」
「そうなっているがな」
「国父ブラウベルグ以降」
「そうだがどちらでもな」
芥川がこの時代の連合に生まれてもエウロパに生まれてもというのだ。
「ノーベル文学賞はだ」
「受賞しているまでの」
「優れた作家だった」
「そうでしたか」
「だからだ」
「そこまでの作家だったからこそ」
「文章も自在に操れてな」
それでというのだ。
「その候文でもだ」
「作品を書いているのですね」
「読んでみたが」
「難しかったですか」
「日本語の勉強にと思ったが」
これがというのだ。
「想像を絶するまでのな」
「難しい文章でしたか」
「読んでも頭に入らない」
そうだったというのだ。
「文章を解読するので必死でな」
「では内容は」
「全くだった」
それこそというのだ。
「頭に入っていない」
「そうですか」
「日本語は文体もな」
「変わるのですね」
「しかも他の国の言語に比べてだ」
ワインを口にしてからさらに言った。
「書き手の癖がだ」
「出やすい文章ですか」
「絵の様にな」
そこまでというのだ。
「出やすい」
「つくづく厄介な言語ですね」
「よくもまあだ」
ワインを飲みながらだ、大尉は怒って話した。ラテン語で話しているその言葉にはプロイセンのケーニヒスベルク星系の訛がある。
「こんな言語を創ったものだ」
「日本人は」
「厄介な民族だ」
こうも言うのだった。
「大和民族というがな」
「日本人は」
「今は様々な人種、民族と混血しているが」
「連合の常ですね」
「元々は縄文人と弥生人の混血だった」
「それが大和民族ですね」
「その連中がな」
日本人達がというのだ。
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