暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第153話:戒めから解放される狂気
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意を払い頭を下げた。対するワイズマンは、腹心からの敬意に応える事無く踵を返した。




 ジェネシスが拠点としている名も無き城から出たレギオンファントムは、その姿を人間に戻すと改めてワイズマンから渡された写真を眺めそして歪んだ笑みを浮かべた。

「フフフッ……見せてくれ、お前の美しさを……!」

 その写真に写っているのは、難民の子供達に手品を見せて楽しませている颯人の姿だった。

 それを見てレギオンファントムは、狂気を含んだ笑みを更に深めるのだった。




***




 捕縛した軍人達の移送を緒川他現地のスタッフに任せた颯人達は、本部へと帰還すべく軽トラックに乗って移動していた。
 魔法を使えば一瞬ではあるが、まだ完全に予断を許さない状況である以上無暗に魔力を消耗するのは避けたい。その為多少時間は掛かっても、こうして車で移動しているのである。

 運転しているのは颯人で、その助手席に座るのは奏。残りの面子は全員荷台に乗っていた。

 その移動する軽トラックの雰囲気は、ハッキリ言って重い。誰も何も言わず、エンジンの音と車輪が道の砂利を踏みしめる音だけが響いていた。

 そんな中で、口を開いたのは運転している颯人だった。

「なぁ奏……ちょっと愚痴っても良いか?」
「え〜?…………と言いたいところだけど、良いよ」

 とは言え颯人が言おうとしている内容には大体察しが付く。聞くまでも無い事だったが、吐き出す事で楽になる事もあると奏は颯人の愚痴を聞く事にした。
 何よりこの問題に関しては、ちょっと真剣に話し合う必要性を感じていたのだ。

「うちの組織ってのは、あれか? 何かデカい事件が起こる度に人間関係でトラブルを起こさずにはいられないっつう呪いにでも掛かってるのか?」
「え〜っと……ルナアタックの響と未来、フロンティアのアタシと颯人に響、未来、切歌、調。そんでこの間の魔法少女事変の時の響の親子関係に加えて切歌と調にクリス…………ホントだ、事ある毎に身内でトラブル起こってるね」

 改めて考えてみると、目の前で対処しなければ問題が山積みと言う状況にも関わらず身内での厄介事まで抱えて事件を解決してきたのだと思うと、思わず乾いた笑いを零さずにはいられない。

 しかし笑ってばかりもいられない。このままクリスと透が不仲になってしまっては困るのだ。連携が崩れるだけでなく、周りの雰囲気も悪くなる。そして雰囲気が悪くなると、それに引きずられる形で他の者達も普段のポテンシャルが発揮できなくなってしまう。それがさらに負の連鎖を巻き起こし、目の前の事件すら解決できなくなってしまう可能性があった。

 故にこの問題は早急に解決し、2人の不仲を解消させなければならないのだが…………


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