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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第153話:戒めから解放される狂気
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。顔には布が被せられており顔は見えず、来ている衣服もボロボロでみすぼらしい。囚人と言う言葉を使う事すら躊躇われる様な囚われた男を前に、ワイズマンは静かに右手の指輪を着け替えハンドオーサーに翳した。
もうメデューサはそれを見ているしかしなかった。
〈リリース、ナーウ〉
ワイズマンの魔法が発動すると、即座に男を縛り付けている鎖が消え去った。自由を手にした男は、布を被ったまま束縛を外された自分の両手を見て歓喜する様に身を震わせ…………
「お……おぉ、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
その姿を鳥か蜥蜴の様な姿の怪人・レギオンファントムへと変じさせると、その手に双刃の薙刀を持ちワイズマンに襲い掛かった。
勿論それを黙って見過ごすメデューサではない。
「ワイズマン様ッ!!」
〈チェンジ、ナーウ〉
メデューサはメイジに変身すると、杖を取り出しレギオンファントムの攻撃を正面から受け止めた。だが力比べではファントムの方に分があるのか、メデューサは目に見えて押されていた。
「ぐ、くぅ……!?」
「邪魔だ」
「ぐあっ!?」
それでも何とか堪えていたメデューサだったが、レギオンファントムは攻撃を受け止めるのに必死の彼女を腕の一振りで吹き飛ばし壁に叩き付けてしまった。
その一撃で動けなくなったメデューサを一瞥したレギオンファントムは、彼女から興味を無くすと狙いをワイズマンに切り替え薙刀を振り上げる。
「よ、止せ……!?」
メデューサの声も届かず、レギオンファントムの薙刀はワイズマンに振り下ろされ…………
「ん……?」
刃がワイズマンに触れそうになる直前、レギオンファントムは薙刀を振り下ろすのを止めた。そして何かを伺う様にワイズマンを観察し、そして唐突に薙刀をそのまま下ろした。
「お前は…………」
「おはよう、レギオン。長い地下生活にも飽きただろう? 偶には外に出て散歩でもしてきたらどうだ?」
そう言うとワイズマンは懐から1枚の写真を取り出した。レギオンファントムは人間の姿に戻ると、見せられた写真を手に取りそれに写った人物をまじまじと眺めた。
「コイツは…………」
「お前は確か、美しいものを破壊するのが好きだったよな? 私の見立てではこいつはお前が満足するに足りるものだと思うのだが……どうかね?」
「むぅ…………」
「それと、例のパヴァリア光明結社が再び動き出した」
「ほぉ?」
見せられた写真と、パヴァリア光明結社の活動活性化にレギオンファントムだった男はあからさまな興味を示した。写真から顔を上げワイズマンを見る目には、狂気と好奇が入り乱れた光を宿している。
レギオンファントムは渡された写真を懐に仕舞う。その目には暗く淀んだ光が宿っている。
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