暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第153話:戒めから解放される狂気
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切歌と調には使用後の体調に悪影響をどうしても残してしまう。
 その事を了子が悔いると、切歌と調は慌てて彼女を宥めた。

「そ、そんな、大丈夫デスよ! こう見えて頑丈デスし、そんな気にするほどの事は……!」

 了子を元気づけようと言葉を紡ぐ切歌であったが、子供に気を遣われていると言う現状が逆に了子を追い詰めていた。何を言っても言い訳にしか思えず、ただ辛そうな目で身を削って戦う少女達を見るしか出来なかった。

 そんな彼女に、エルフナインが声を掛けた。

「それは違います、了子さん」
「え?」
「エルフナイン?」

 意外な人物が声を上げたと全員の視線がエルフナインに集中する中、彼女は向けられる視線を物ともせず思う事を口に出した。

「了子さんが頑張っている事、僕達皆知ってます! 了子さんが頑張ってくれてるから、皆さんもこうして帰ってこられたんです! だから、えっと……その…………」

 言葉を探すエルフナインだったが、半ば勢いで口に出した為か後半は失速し勢いを失った言葉は尻すぼみになって消えてしまった。
 勢い良く否定して了子を励ますつもりだったのに、肝心の具体的な部分があやふやになってしまった事が恥ずかしくて顔を赤くして俯いてしまう。最後にはちょっぴり涙を浮かべて上目遣いに了子の顔を見上げると言う形になってしまい、エルフナインは恥ずかしさで死にそうになった。

 だが良くも悪くも、エルフナインの発言が場の雰囲気を変えた。マリアはフッと息を吐くと、上目遣いになるエルフナインに近付き彼女の頭を優しく撫でた。

「ふぇ?」
「そうね、エルフナインの言う通りよ。私達はまだ、負けたとは思っていない。誰も悪くないんだから、了子……貴方を責める人は誰も居ないわ」
「マリアちゃん……」
「そうです。私達はまだ、諦めていません」
「ごめんなさいよりも応援が欲しい年頃なのデス!」

 マリアに続き、調と切歌も了子の励ましに加わった。自分と比べて大きく歳の離れた子供からまで励まされる事に、先程同様恥ずかしさを覚えたがしかし感じた恥ずかしさは先程とは違っていた。少なくとも、自分の情けなさを責めようと言う気にはなれず、逆にこそばゆさを感じずにはいられない。

「あなた達…………フフッ」

 若者を諭す立場に居る筈の自分が逆に諭されているような感覚に、了子は決して悪い気はせず小さく笑みを浮かべるのだった。




***




 バルベルデでS.O.N.G.がパヴァリア光明結社と衝突していた頃、何処とも知れぬ城の中では黒衣の魔法使いワイズマンが椅子に座り肘掛けを指先で突きながらメデューサからの報告を聞いていた。

「ご報告します。バルベルデ共和国にて、遂にパヴァリア光明結社が表立った動きを見せ始
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