忘れ去られた過去
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う無い」
「な!?」
「衛宮がお前を引き摺り出した後、アレは勝手に消滅した。明確な証拠が無い以上、どうすることもできん」
「で、ですが……」
「それにだ」
尚も言いすがろうとするセシリアに、被せるように言葉を続けた。
「遠方から観測した限りだが、あの泥からは人体に有害な物質は確認出来なかった」
「う、嘘ですわよ……だって、あんな……」
あり得ない。あんな醜悪なモノが、人体に有害で無いわけがない。しかし、
「オルコット、お前は今体調に不具合は無いな?」
「それは、衛宮さんが助けてくれたからで」
「だが、事実としてお前は健康体だ。少なくともイギリス政府はそう認識している」
ここに来て、切嗣の治療が裏目にでた。若しセシリアに何らかの後遺症が認められれば、彼らも泥の危険性を過小評価しなかっただろう。だが、切嗣の治療は完璧だった。セシリアに一切の傷はない……彼が魔術的な治療を行う際に付けた腹の傷を除いては。
結果的にイギリス政府は曲解した。唯の泥からセシリアを出した後、彼女を傷付ける凶行に及んだ、と。
状況を理解した一夏や箒、本音やセシリアまで青ざめている。その余りの狼狽ぶりに見かねて、千冬はフォローをいれた。
「……まぁ、あまり気にするな。お前達が考えているよりは、事態は深刻ではない」
その言葉に一夏達のみならず、真耶も目を丸くする。
「あの、織斑先生……どういうことですの?」
「まぁ、席に着け。手短に説明してやる」
――――――――――――――――――――――――
イギリスの首都、ロンドンにて
「…………は?」
使い古したダークスーツに、着古したビジネスコートを身に纏った東洋人の男がいた。美形とは言えないが、落ち着いた顔立ちと渋さとモノ珍しさが手伝って、割りと注目を集めていた。
その男が、近くの公衆電話で話をしていた。
「驚くのも無理は無いが、そういうことだ。もう一度言うぞ、オルコットの件は不問になった。さっさと帰ってこい」
電話の相手は織斑千冬。ロンドンに着いたは良いが、政府関係の出迎えが一切無く、切嗣は近くの公衆電話からIS学園に連絡をとっていた。……とってみたら、在る意味想定外の事態に困惑していた。
「……事情を聞いても?」
その反応は仕方がない。殆ど死を覚悟してロンドンに行き、いざ着いてみたら全て解決してました……どこの笑い話他だ?という話だ。
「……篠ノ之束、と言えば解るか?」
「……?……はぁ……成る程。厄介なのに目をつけられていたということか」
「そういう事だ」
学園に入る前、切嗣はかの女性と会っていた。その時のやり取りは……
――――――――――――――――――――――――
「へ〜、君が二人目か?君のIS見せて」
「……何これ、プロテクトが複雑過ぎてバラす
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