第二章
[8]前話
「どうにも」
「何でこんなの描かれてるのかな」
「わからないね」
二人で浮世絵を観て話した、そして後日。
小池は泉田にスマホにある画像を紹介して話した。
「この画像一九二〇年代らしいけれど」
「だから白黒だね」
「そうなのに」
それでもというのだ。
「おかしいんだ」
「どうおかしいのかな」
「ほら、ここ」
画像のある場所を指差して言った。
「ここにサングラスとティーシャツの人いるね」
「あっ、そうだね」
泉田も指差した先の男の人を見て気付いた。
「この人って」
「現代の服装だね」
「けれど周りはね」
「当時の服だね」
「この人だけがね」
まさにというのだ。
「不自然にね」
「いるね」
「そうだね」
「他にもね」
二十世紀前半の画像、モノクロのそれを見てもだった。
「この画像にもいるね」
「ああ、携帯使ってるね」
「この時代に携帯?」
「ないよね」
「服装も現代のだし」
「ナチュラルに使ってるけれど」
その携帯をというのだ。
「違和感あるね」
「モブと言っていい中にこうした人いると」
「妙だよ」
「周りの人も皆気付いていないしね」
「ひょっとしたら」
泉田は小池に考える顔で言った。
「偽造かもね」
「ああ、今の人を昔の写真に入れた」
「フェイクの可能性もあるかもね」
「浮世絵だってね」
「その可能性はあるね」
「偽造しようと思えば幾らでも出来るし」
「その可能性はあるね」
こうも話した。
「やっぱり」
「そうした可能性もあるけれど」
「検証して違ったら」
「かなりね」
「問題だよ」
「未来から来た人がいるのかな」
小池はかなり真剣に考えて泉田に言った。
「そうなのかな」
「ああ、タイムスリップとかで」
「創作でよくあるお話でね」
「その可能性あるのかな」
「浮世絵は逆に絵師の人が未来に行って描いたとか」
「そうかも知れないんだね」
「そうかな、兎に角こうしたものを見ると」
小池はさらに考える顔になって話した。
「不思議で不気味なものを感じるだね」
「そうだね、世の中よく見たらこうした話が多いよ」
泉田もそうした顔になって応えた、そしてだった。
二人でそうした写真や絵を見ていった、そのうえでこの世には不思議な話が多いことを実感した。そしてタイムスリップを否定することをしなくなった、二人共以前からそうだったが前にも増してそうなった。
未来から来た人なのか 完
2023・5・20
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