攫われたハルト
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彼はそのまま、ガルーダとクラーケンに詰め寄った。
「なあ! それじゃ、ハルトがどこにいるのか知っているのか!?」
頷いたガルーダとクラーケン。だが、それぞれが道案内しようとした途端、その体を構成するプラスチックが消滅した。
「え!?」
目を大きく見開き、可奈美は慌てて手を伸ばす。可奈美の手のひらに落ちてきたのは、二体の指輪だけだった。
「そんな……ここで魔力切れだなんて……」
二つの指輪を見下ろしながら、可奈美は打ちひしがれた。
すると、狂三がクラーケンの指輪を摘まみ上げる。
「狂三ちゃん!」
「おい、返せ!」
真司がタックルで指輪を取り返そうとするものの、体を回転させて真司を避けた狂三。
彼女はそのまま、銃をクラーケンの指輪に直接押し当てた。
「ダメ!」
「刻々帝 一〇の弾」
可奈美が止めるのも間に合わず、狂三の引き金が引かれる。
だが、指輪にはいかなる衝撃もない。
唖然としている可奈美と真司へ、狂三は高笑いをし出した。
「ご安心ください。ユッドは対象が持つ記憶を伝える弾。それそのものにはダメージはありませんわ」
「記憶……」
「ええ。この子たちは、ウィザードがどこにいるか知っているのでしょう? なら、わたくしが読み取って差し上げますわ」
狂三はそう言いながら、指輪を自らの右手に___丁度、ハルトがしているのと同じように中指に付ける。
「……まあ、わたくし以外がこれの記憶を見るのも、酷でしょうし」
「狂三ちゃん?」
「きひひっ!」
大きく目を見開いた狂三。その時計盤の形をしている金色の左目が、強く印象に残る。
「なるほど……見滝原山のふもとにある川原___以前、ムー大陸関係の遺跡があった場所の近くにある廃教会のようですわね」
「ムーの遺跡!? それだったら……!」
「響ちゃんとコウスケさんが場所を知ってるはず!」
可奈美と真司は頷き合う。
可奈美は二階に駆け込み、一分も立たないうちに美濃関学院の制服に着替え、千鳥を携えて戻って来た。
「助けに行くんですの?」
「当たり前だよ! 場所を教えてくれてありがとう、狂三ちゃん!」
「助かったぜ! あ、あと、アンタももう参加者同士の戦いはやめろよな! 可奈美ちゃん、乗って!」
真司が一言だけ釘を刺しながら、スクーターに跨る。そのまま、真司がアクセルを入れると、可奈美は、真司とともに見滝原公園にいるコウスケ、響のランサー組のところまで急いだ。
誰もいなくなった店内で。
狂三は、静かにラビットハウスへ背を向けた。
「せめて、後悔のないことを祈りますわ」
そう言いながら、去り際に玄関の標識を「
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