攫われたハルト
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と戦った時同じ場所にいただけだ。
「いいですわ。いいですわ! この街は本当に参加者であふれていますのね!」
「おい、ちょっとこれって……!」
狂三がトリガーにかける指に力が入る。
だが真司は、咄嗟にポケットからカードデッキを取り出し、その中からカードを抜き取る。
「ドラグレッダー!」
銃声。
だが、それよりも大きな咆哮が響いた。
ラビットハウスの窓ガラスより現れる赤い影。ドラグレッダーは、向かいの窓へ飛び込む道中、その長い体で銃弾を弾いていた。
「あらあら……」
「おい、何のつもりだ!?」
「何のつもりも何も……? わたくしたちは聖杯戦争の参加者同士。殺し合うのが当然ですわ?」
「結局……アンタもそうなのかよ……!」
真司は唇を噛む。
「戦わないってことは、できないのかよ!」
「当然ですわ、ライダー。わたくしたちは願いのためにこの世界に召喚され、願いのために命がけで戦う。あなたにも願いがあるのではなくて?」
狂三の問いに、真司は堂々と答えた。
「ああ。俺にも願いはあるさ」
「やはり……!」
「俺は……こんな、戦いを終わらせる! 聖杯戦争を終わらせることだけが、俺の願いだ!」
そう叫んで、真司はカードデッキを突き出す。
すると、窓ガラスより銀のベルトが出現、真司の腰に装着された。
「……俺は戦いを止める。そのために、この聖杯戦争に参加したんだ!」
「矛盾してますわね」
狂三は吐き捨てる。
「戦いを止めるために戦う? どうしてそんな頭の悪い結論に達するのでしょうか?」
「俺、バカだからな。一年間あれこれ考えても、結局答えなんて、他になかったんだよ」
一年間。
その単語に、可奈美は疑問符を浮かべた。
ハルトが真司を召喚したのは、昨年の秋。春の今に至るまで、まだ半年しか経っていない。
それなのに、なぜ一年なのだろうか。
疑問に思った可奈美のことなど、真司は気にすることもなかった。
「変身!」
右手を斜めに突き伸ばし、ベルトに装填。
無数の鏡像が真司に重なり、赤い仮面ライダー、龍騎へと変身を遂げる。
「っしゃあ!」
気合を入れた龍騎は、身構える。
「闘いたいなら、俺が相手になってやる!」
「あらあら……」
首を振った狂三は、口角を吊り上げる。
「刻々帝」
狂三の言葉により出現する、ローマ数字が刻まれた時計盤。ラビットハウスの天井にも届かんとするそれは、大きくその存在感を放つ。
時計盤の数字、そのどれかから赤黒いエネルギーが狂三の銃に注がれようとする、
そのとき。
赤い魔法陣が出現した。
どう見てもウィザードの魔法陣
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