攫われたハルト
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それはユニコーンの動きを極限まで遅くさせ、空中に固定した。
「ユニちゃん!」
「あらあらあら。折角落とし物を拾ってあげたのに、あんまりではありません? そうそう、こちらは拾い物としていただきますけど、こっちは返して差し上げますわ」
狂三はそう言って、折りたたまれた手紙を手渡す。
受け取った可奈美がそれを開くと、『お誕生日おめでとう ハルト君』という綺麗な文字が現れた。
「誕生日って……ハルトさん、今日誕生日だったの!?」
「……まあ、知らせていないでしょうね」
狂三は小声で呟く。
可奈美は頭を抑えながら、狂三へ詰め寄った。
「何があったの? ハルトさんに、何かあったの?」
「さあ? 答える義理なんてありませんが……そうですわね」
狂三はにやりと笑みを浮かべ、ウィザーソードガンを可奈美へ向けた。
「!」
「わたくしが勝ったら、教えて差し上げますわ。賭け金は可奈美さん、あなたの命で……いかが?」
「いいよ。やろう」
可奈美は顔を強張らせる。
すると、大きく口角を吊り上げた狂三は、その全身から赤黒い光が溢れ出していく。
狂三を包み込んでいくそれは、やがて彼女をオレンジのドレスに仕上げていく。
「……っ!」
この姿の狂三を、可奈美は知っている。
黒とオレンジのツートンカラーのドレスを着こなし、左右非対称のツインテールは前髪で左目を隠すことなくたくし上げている。
口角を高く吊り上げながら、狂三は銃口を可奈美へ向けていた。
「さあ、まずは刀を手にするまで、生き延びられますかね?」
「……!」
千鳥を取ってくるのを待つつもりはない。
その意図を汲み取った可奈美は、バク転と同時にウィザーソードガンを蹴り上げる。
思わぬ方向へと腕を動かされた狂三は笑みを張り付けたまま動かない。
そのまま、大急ぎで、バックヤードへ続くドアを開けようとするが。
「おっす、ハルト! いるか?」
突然の来客ベルによって、狂三が入口へ銃口を向けた。
「いけない!」
可奈美は足を止め、狂三を飛び越えて入口に割り込む。ウィザーソードガンを蹴り飛ばし、入って来た客の前に立つ。
「ごめんなさい、今取り込み中で……真司さん!?」
「お、可奈美ちゃん。どうしたんだ、そんな必死そうな顔をして」
驚いた表情を見せるのは、城戸真司だった。
彼は可奈美と、銃口を向ける狂三を見比べて驚いた。
「あっ! ええっと……この前、ムーンキャンサーと戦った時に助けてくれた人!」
「城戸真司……ライダーのサーヴァント、ですわね?」
真司と狂三に面識はない。
接点そのものは、今真司が言った通り、邪神イリス
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