第二章
[8]前話
「太った?」
「昔のアルバム見たらね」
「そうかしら、今が一番動きやすいけれど」
「そうなの?」
「ええ、というか痩せてたら」
その状態ではというのだ。
「あまりね」
「動けないの」
「体力なくてね・・・・・これって」
ここで中学三年の頃の自分の言葉を思い出して言った。
「お母さんが昔お祖母ちゃんと話したことよ」
「お祖母ちゃんと?」
「太ったとかね」
「そうなの」
「けれど今のお母さんはね」
目尻に少し皺がありややお腹に肉が付いた状況を確認しつつ話した。
「どうもね」
「今の体格の方がなの」
「いいわ、お母さんやってこの年齢になると」
それならというのだ。
「かえって痩せてるとね」
「動きにくいの」
「そうなのよ、だからね」
「太ったままでいるの?」
「今の体型維持したいわ」
「痩せてる方がいいのに」
「家事とかパートやるにも体格が必要なのよ」
昔の自分の言葉を思い出しつつ娘に話した、そして実家に帰った時に母にこのことを言うと笑って言われた。
「わかったでしょ、結婚してお母さんになるとね」
「体力必用ね」
「だからある程度でも太ってないとね」
「駄目なのね」
「ちょっと身体壊してやつれたら」
その時はというと。
「大変よ」
「私この前インフルエンザになったけどね」
姉も言って来た、彼女も今は結婚してやや肉が付いている。
「後大変だったわ」
「やつれて」
「ええ、痩せていたらね」
「お母さんはかえって大変ね」
「ある程度太ってないと」
そして体力がないと、というのだ。
「大変よ」
「そうね、そのことがよくわかったわ」
しみじみとしてだ、亜美は姉の言葉に頷いた。
「よくね、だからね」
「だから?」
「お母さんあの時は御免なさい」
今は髪の毛が結構白くなっている母に頭を下げた。
「馬鹿なこと言って」
「いいのよ、あんたもわかることだと思っていたから」
「だからなの」
「誤らなくていいわ、けれどこれからもある程度でもね」
そのレベルでもというのだ。
「太ってる方がいいわよ」
「その報が家事やパート出来るから」
「ええ、そのことは気を付けてね」
「そうするわね」
母の言葉に笑顔で頷いた、そのうえで三人で砂糖が入った紅茶と由希子が買って来たケーキを楽しんだ。その時に三人で太り過ぎには注意しないととも笑って話した。あくまで程々と。
お母さんは太る 完
2023・5・19
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