第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その三
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「敗れたな」
「叩きのめされました、自慢だった海軍もです」
ロイヤルネービーもというのだ。
「マレー沖において」
「敗れたな」
「二次大戦で我が国は致命傷を負い」
「植民地を維持出来なくなりな」
「世界帝国の座から降りざるを得ませんでした」
「そしてフランスも没落してな」
「我等は衰退の一途を辿り」
イギリスやフランスだけではなかった、欧州全体がそうなった。
「国父ブラウベルグ登場まで」
「我々は衰退するばかりだった」
「そうでしたね」
「それを見るとな」
実にと言うのだった。
「日本はな」
「実に忌々しい国ですね」
「しかもその二次大戦では惨敗した」
「これ以上はないまでに」
「しかしだ」
それでもというのだ。
「そこから復興してな」
「また大国になり」
「今に至る」
「左様ですね」
「色々な国がだ」
連合のというのだ。
「あの戦争の後独立してだ」
「我々は植民地を失い」
「永遠の繁栄もだ」
欧州のそれもというのだ。
「失った」
「そうでしたね」
「あの戦争でイギリスやフランスは勝ったがな」
「国力を大きく消耗し」
「植民地を維持出来なくなった」
「日本にやられたこともあり」
「そう思うとだ」
まさにというのだ。
「日本程だ」
「忌まわしい国はないですか」
「私はそう思う、日本はかつては猿真似でだ」
こうも言うのだった。
「我々のことを学んでいたしな」
「あの国が開国してから」
「幕府とやらが倒れてな」
二百六十三年に渡る長期政権がというのだ、尚大尉はこの政権が築いた二百年の平和ミラクルピースと言われるそれも嫌いである。
「維新とやらが起こってな」
「新しい政権になり」
「それから猿真似でだ」
エウロパから見てというのだ。
「学んでな」
「そうしてでしたね」
「発展していった」
「そうした国でしたね」
「そんな猿真似でしかも当時は身体も小さかった」
「日本人達は」
「あの国の首相なぞ一五五センチしかなかったのだ」
伊藤博文のことである。
「当時の日本人ではそれが標準だったのだ」
「小さいですね、それはまた」
伊藤博文の背を聞いてだ、上等兵も驚いた。
「一五五とは」
「そんな連中がだ」
「今は平均一九〇ですね」
「我々より大きくなってな」
「学んだこともですね」
「我々より先だ、そして一国でだ」
「エウロパの何倍もの国力があり」
上等兵も言った。
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