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八条学園騒動記
第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その二

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「イギリス国王はインド皇帝でもあられました」
「四つの国の王でありな」
「連合王国の」
 イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドのだ。この時代では四国に分かれスコットランドとウェールズはそれぞれウィンザー家から迎えた王を戴いているがアイルランドは共和国である。
「そうでしたが」
「日本の皇室はな」
「有り得ません」 
 上等兵は怒気を込めて言った。
「あまりにもです」
「四千年だからな」
「わかっている限りで三千年です」
「我がホーエンツォレルン家はだ」
 大尉はこれまで以上に忌々し気に言った。
「確かにかつてはな」
「ドイツ皇帝でもありましたね」
「プロイセン王でありな」
「そうでしたね」
「しかし三千年の歴史なぞだ」
「ありませんね」
「二千年か、皇紀とやらだと四千年になるなぞだ」
 それこそというのだ。
「最早な」
「嘘みたいですね」
「有り得ない、何でも皇紀は実はな」
 大尉は日本のこの暦の話をした。
「最初の十代の頃はな」
「実在はしていたそうですね」
「どうもな、だがどうも一年ではなくな」
 その頃の暦はというのだ。
「半年か数ヶ月でだ」
「一年としていたのですね」
「そうだったらしい、だから実際に四千年はな」
「なかったですね」
「その様だ、だがな」
「西暦の、ですね」
「もう三世紀の頃にはな」 
 既にというのだ。
「皇室は存在していたらしいな」
「日本のそれは」
「エウロパではローマ帝国だ」
 この国の頃だというのだ。
「その頃にはな」
「もうありましたね」
「そして今は日本一国でエウロパよりも国力が上だ」
「それも何倍も」
「十九世紀は何でもないな」
 それこそというのだ。
「小国だったが」
「その頃にも皇室はあり」
「それだけだったがな」
「急激に発展し」
「日露戦争に勝ちな」
「我がエウロパの絶対の繁栄をですね」
「脅かした、我等は白人でだ」
 即ちコーカロイドでというのだ。
「当時は白人がな」
「絶対でしたね」
「欧州今で言うエウロパの者達こそな」 
 まさにというのだ。
「文明人であり技術もな」
「持っていましたね」
「そして無敵の半神としてな」
「世界を導いてやっていました」
「そうだったが」
「その白人絶対の考えもですね」
「終わらせた、日本が日露戦争に勝ち」
 そうしてというのだ。
「有色人種でも白人に勝てる」
「同じ人間だとですね」
「世界に教えた、そして二次大戦でな」
「さらにでしたね」
「君の国に特にだな」
「ええ、マレーでもシンガポールでもです」
「そしてミャンマーでもだな」
 大尉も言った。
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