283 羨望心の芽生え
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藤木と妲己を取り逃がしてしまった大野、ブー太郎、まる子、友蔵、石松、お蝶は走って藤木を追う。
「はあ、はあ、もう走りたくないよお・・・」
「儂も、疲れた・・・」
まる子と友蔵は疲れてしまった。
「何言ってるブー、そんなことしてる間に藤木が逃げちまうブー!」
ブー太郎が反論した。
「その通りだ、休憩する余裕などない、それにこの屋敷の人間もまだ全滅した訳ではないぞ!」
「だってえ・・・」
「頼む、まる子が辛そうなんじゃ、少し休ませておくれ〜!!」
友蔵が土下座で懇願した。
「もう仕方ねえ、放っておけ!」
大野は呆れた。他の者も皆まる子と友蔵を見捨てて行ってしまった。
「まる子や、大丈夫か?」
「うん・・・」
だが暫くして、紂王の屋敷の遊女が走って来た。
「この者は・・・、侵入者よ!」
「全く、葬ってくれる!!」
「お、おお、別嬪さん達じゃ〜」
友蔵は楽園に浸った。だが、呑気に言っている場合ではなかった。遊女が短刀を出して友蔵とまる子に襲い掛かる。
「ぎえええ、許してくれえ〜!!」
友蔵は命乞いした。まる子は炎の石で遊女を焼き尽くした。
「ああ!!」
遊女二名は消失した。
「おお、凄いぞ、まる子お〜!」
「いやあ・・・」
二人は勝手にその場で休憩するのだった。
「僕は、帰らないぞ!」
「・・・え?」
「僕はどうせ帰ったって皆から遠いところへ逃げた卑怯者だって言われるだけなんだ!それに僕なんか帰ったって誰が喜ぶんだい!?」
「う・・・」
かよ子は藤木の言っている事がその通りになっていると思うと何も言い返せなかった。
「それに・・・」
藤木は言葉が詰まる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え?何て言ったの?」
かよ子は藤木の言葉が小声すぎて聞こえなかった。
「・・・、さ」
藤木は深呼吸してもう一度言った。
「笹山さんの事は忘れるってもう決めたし、この世界の方が僕は楽なんだよ!誰も卑怯者って言わないし・・・!!」
「藤木君・・・」
かよ子には藤木が余りにも拒む理由が解らない訳では無い。確かに野良犬に襲われる所を自分を見捨てて笹山だけ連れて逃げて一度愛想を尽かされた事、クリスマスの合唱コンクールで自分だけ歌い出しが遅れて独唱を頑張った自分や笹山、声が出なくなった大野の代わりに歌った杉山とは対照的に冷ややかな目線を取られた事、これらの事から考えると元の世界など苦痛であろう。
「・・・、そんな事ないよ!」
かよ子はそれでも反論した。
「笹山さんはあの手紙を貰った時、凄く悲しんでたよ!それにクラスの皆だって藤木君がいなくて心配そうにしてたよ!皆もう気にしないと思うよ!」
「保証できるのかい?」
その時、妲
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