第九十八話 母の法事その十二
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「本当にな」
「よくないわよね」
「寿命が縮まるんだ」
「横山やすしさんみたいに」
咲は昼の話を思い出して言った。
「なるのね」
「若しな」
父はさらに言った。
「ああした風になるとな」
「幾ら才能があっても残念よね」
「漫才は天才だったんだ」
父はこのことは太鼓判を押して語った。
「二人でな」
「きよしさんと」
「もう最高だった」
そう言えるまでというのだ。
「あの人は凄かったんだ」
「そうだったのね」
「それでもな」
それがというのだ。
「本当にな」
「お酒で駄目になったのね」
「スキャンダルを起こして」
「お身体も壊して」
「それで駄目になったからな」
「人生自体も」
「そうした人も見てきたからな」
それ故にというのだ。
「今お父さんも言うんだ」
「飲み過ぎないで」
「他のことでもな」
「若くても健康には注意することね」
「そういうことだ」
娘に牛乳を飲みつつ話した。
「逆に言うと健康ならな」
「それに越したことないのね」
「そうだからな」
それ故にというのだ。
「今からな」
「健康にも気をつけて」
「生きていくんだぞ、若い時は多少無茶も出来るが」
体力があるからだ、このことは言うまでもなかった。
「しかし無茶が過ぎると後でな」
「くるのね」
「そうだからな」
それでというのだ。
「若くしてだってあるからな」
「気をつけることね」
「そうだ、長生きしないとな」
「人間駄目ね」
「太く短くも人生だけれどな」
父は遠い目で話した。
「やっぱり長生きすると普通はな」
「いいのね」
「だから徳川家康さんだってこの街作れたんだ」
江戸幕府を開いた彼もというのだ。
「天下人になれてな」
「ああ、あの人ね」
「そう思うとよっぽど害にしかならないとな」
そうした輩でもないと、というのだ。
「長生きしないとな、周りも大往生を見送る方がいいしな」
「周りの人達のことも考えるとなのね」
「長生きをしてな」
そうしてというのだ。
「穏やかに死ぬべきだ」
「それでなのね」
「ああ、咲も長生きしてな」
「穏やかに死ぬ為に」
「若くても無茶苦茶はするなよ」
「今からね」
「そうだ、長生きしないとな」
人間はとだ、遠い目になってだった。
父は牛乳を飲みつつ話した、咲は後で父が古くからの友人を若くして癌や自殺で何人か失っていることを知った。そして何故健康や自殺について言うのかを理解したのだった。そして健康に気を付け自殺についても考える様になった。
第九十八話 完
2023・2・8
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