第168話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
マンションに着いた麻生は、今だ不機嫌に牛乳を飲んで椅子に座っている制理と、コーヒーを飲みながら対面する椅子に座っている桔梗の姿が見えた。
帰ってきた麻生を見て、制理は一瞬だけ視線を向けてそのままテレビに、視線を向け直す。
そんな制理を桔梗は少しだけ笑いながら言う。
「おかえり。
遅かったわね。」
「ちょっと面倒な酔っぱらいに掴まってな。
すぐに飯を作るから待っていてくれ。」
リビングに向かい、黒のエプロンを身につけ冷蔵庫の中を漁る。
思っていた以上に材料は残っていたので、何を作るか考える。
「何を作る予定?」
と、様子を見に来た桔梗が後ろから話しかける。
そのまま冷蔵庫の中を漁りながら答える。
「そうだな。
手早くカルボナーラのパスタにでもするつもりだが。」
「私はそれで構わないわよ。
それより、あの子また怒らせたの?」
あの子、とは制理の事だろう。
全く原因が分からない麻生だったが、桔梗ならわかるかもしれない。
材料を取り出しながら、帰るまでの経緯を教える。
聞いた桔梗は納得した声をあげる。
「何か分かったのか?
俺にはさっぱりわからない。」
「う〜ん、答えられるけど答えないわ。」
それを聞いた麻生はむっ、と軽く眉をひそめる。
「どうしてだ?」
「彼女がちょっと子供っぽい所もあるけど、それに気がつかない恭介も悪い。
こういう事に関しては鈍感だからね、あなた。」
そんな言葉を言い残して、桔梗はコーヒーを補充してリビングに戻る。
どれだけ考えてもさっぱり分からない。
いっその事星にでも聞くか?、と本気で考えた。
(それは違うな。
こういうのは自分で考えてこそ、意味がある。)
もっともらしい事を考え、料理を再開する。
パスタを鍋に入れて茹でていると、不意に携帯が振える。
ポケットから携帯を取り出すと、画面に表示されたのは御坂美琴の番号だ。
麻生は通話ボタンを押す。
「何か用か?」
「っつーかメールの返事はいつになったら返ってくんのよ!?」
メール?、と頭を傾げて思い出した。
「あぁ、あったそんなこと。」
「ッ!?
ちょ、アンタ、投げやりにも程度ってモンがあるでしょう!!
一つメール送るのにどれだけ」
何か叫ぼうとしていたが、その時、彼女の声が遠くなったと思ったら、いきなり通話がプツッと切れた。
麻生の方の電波状況を確認するが、別に悪くはない。
(あいつの方で電波が悪くなったか。)
適当に考えて、ボールに卵とチーズと黒こしょうを入れ、しっかり混ぜ合わせる。
この家に様々な材料が置いてあるのは麻生が、買い物なので買ってきたからだ。
一応、材料があれば麻生は何で
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ