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第十七話 禁句その六

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「悪いがその話は聞かないでくれ」
「言えないか」
「ああ、小鳥にもな」
 彼女にもというのだ。
「聞かないでくれ」
「そうか」
「悪いがな」
 神威に顔を戻して話した。
「あの剣のことはな」
「ではそうする」
「言えん事情があるならええですわ」
 空汰もそれならと答えた。
「そこを無理しては」
「聞かないか」
「人の心を傷付けたりすることは本意やないですさかい」
 だからだというのだ。
「わい等も聞きませんわ」
「悪いか」
「いえ、構いません」
 嵐は申し訳なさそうな顔になった封真に答えた。
「では剣のことは」
「そうしてくれ」
「はい、ですが間もなくです」
「もう一本の剣が手に入るんです」
 護刃も言ってきた。
「私達に」
「そうなのか」
「はい、丁様が言われるには」
「ではまた」
「また?」
「いや、何でもない」
 封真はまた顔を右下にやって言った。
「気にしないでくれ」
「そうですか」
「ただその時は」
 封真は顔を戻して話した。
「皆覚悟しておいてくれ」
「覚悟?」
「ああ、どんな惨たらしいことが起こっても」
 例えそうなってもというのだ。
「いいとな」
「その様にですか」
「覚悟してだ」
 そしてというのだ。
「剣をだ」
「受け取ることですか」
「そうしてくれ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「運命に向かってくれ」
「運命か」
 神威は封真のその言葉に眉を動かした。
「剣もか」
「そうだとな」
 その様にというのだ。
「言うだけだ、俺は」
「そうか」
「そしてだ」
 神威はさらに言った。
「その剣で戦う」
「あくまでだな」
「まだどちらか決めていないが」
 天の龍を選ぶか地の龍を選ぶかはというのだ。
「しかしな」
「その剣でだな」
「俺は戦う」
 そうするというのだ。
「そうする」
「ならそうしろ、だがな」
「運命はか」
「その時何を見てもな」
 封真は厳しいがそこに悲しさもある目で話した。
「進むことだ」
「心を折らずにか」
「そうしてくれ、そして小鳥にはだな」
「このことをだな」
「くれぐれもな」 
 決してと言うのだった。
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