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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
妹のため、弟が兄に反撃する話
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だ。」
「…。」

上を、見上げる。
そこにはもう小さくなって見えなくなりつつあるゴッホちゃん。
何も出来ず、何も言わず、僕はただそれを見守る。

「無理なお願いかもしれない…けど、」

けど、最後に一つだけ、僕は叶いもしない願いを吐露する。

「また、このひまわり畑で会いたい。」



?



「いつ来ても気味の悪い世界です…本当に。」


それからゴッホは夢の中を移動し、葛城恋の夢の世界へと戻ってきた。
黒く淀み、絵の具をごちゃ混ぜにしたような色が支配する不気味で意味不明の世界。
彼の心そのものを表しているらしいが、今となればそんなの知ったこっちゃない。

「もう…あなたは夢を見ることは無い。」

彼自身、ゴッホを既に敵とみなしているのだろう。
描き替えてもらった霊基が徐々に汚染されていくのを感じる。
ぼうっとしていては心すらなくし、彼の使役するサーヴァント達のようになるだろう。

だから、そうなる前に、

「舞様に描き替えてもらったんです。汚さないでください!!」

めちゃくちゃにする。
竜巻を起こして、全てを巻き込む。
突き刺し、抉り出し、原型をとどめないくらい滅茶苦茶にして、色んな色の絵の具をぶちまける。

あいつは今、現実世界で苦しんでいる。
黄衣の王の魔力に触れたせいでやつの身体は変貌したが、それは現実にもしっかりと現れていた。

なので彼は今それを元に戻すべく、悪戦苦闘している。
ここで今夢の世界を塗り潰したとしても、すぐには対処出来ない。

「!」

そう思っていたが、防衛機能が働いたのだろう。
ヘドロだまりのような場所から何かが出てくる。
サーヴァントだ。
とはいえヘドロが形を真似しただけのもの。
スカサハ、源頼光、三蔵法師。
自分じゃ到底敵わない名だたるサーヴァント達が襲いかかるが強さまでは本物じゃない。

「邪魔です。」

筆の一振るいで、やつらを塗り潰してしまう。

「まだ、まだまだ、もっと塗り潰して、塗り替えて、何もかもまっさらに…!」

筆が踊る。
主体性がなくとも、描き続ける。
この汚い世界に、彩りを加えてやる。
こんな夢なら見なくていい。
人の夢を笑うのなら、お前は夢を見る資格すらない。

「ぐ…っ。」

防衛機能はまだ生きている。
強さは本物までとは行かないといったが、それは数の暴力で補われていた。
何十、何百ものサーヴァントを真似したヘドロの塊がゴッホに殺到する。

「けほっ、おまえごときがお兄様のお兄様なんて…とんでもなく、つまらないジョーク…。ふふ、えへへ…。誰も笑わないので、ゴッホが代わりに笑ってあげます。」

串刺しにされようが、撃ち抜かれようが、欠損しようが、

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