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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第152話:蘇る過去からの憎悪
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」
素早く指示を出すと、奏と響はクリスの後を追って村の外、夜のジャングルの中へと飛び込んでいく。翼は今し方起きた事を本部に報告し、弦十郎に指示を仰いでいる。
そして颯人はと言うと、帽子を脱ぎ頭を掻き毟ると突き飛ばされて倒れたままの透に近付いた。その腕には、クリスが男に突き刺そうとしていたナイフがそのまま残っている。
「腕、ざっくりいったが大丈夫か?」
颯人からの問い掛けに、透はナイフが刺さった腕をそっと押さえる。沈痛な面持ちで腕を押さえているのは、ナイフが刺さって痛む……と言うだけではなさそうだ。
クリスに手を上げてしまった。仕方がない事とは言え、彼女の頬を叩いてしまった事を心の底から悔いているのが颯人にも分かった。
「……クリスちゃんの事は取り合えず奏と響ちゃんに任せとけ。ほら、その腕治療すんぞ。あんたらも、何時までもそこに居ないで、こっち……」
「ッ、はい……」
颯人に引っ張り上げられて立ち上がる透からは覇気が感じられない。先程の事が余程ショックだったようだ。ソーニャはそんな透を気遣う様に、颯人と共に透に手を貸して歩く。
透の事をソーニャに任せ、翼の元へ向かわせると颯人は帽子を押さえながら空を見上げた。暗い夜空の上には、土星の様な輪っかを持つ欠けた月が煌々と輝いている。
普段なら風情の一つも感じるのだろうが、今は何故かその月の輝きが無性に忌まわしく颯人は思わず月に向けて舌打ちをしてしまうのだった。
***
「お〜い、クリスー!」
「クリスちゃーんッ!!」
一方ジャングルに入った奏と響の2人は、物の見事にクリスを見失ってしまっていた。途中までは逃げるクリスが草や葉を揺らす音と、彼女自身の荒い息遣いで朧気ながら居る場所が分かったのだが、途中から静かになり見失ってしまっていた。
仕方なく声を上げてクリスを探すのだが、当然と言うべきかクリスからの反応はなく2人は途方に暮れてしまった。
「クリスちゃん、何処に行っちゃったんだろう……」
「あの逃げ方だと、本人にも行く当てなんかないだろうからね。我武者羅に逃げてたら、あいつ自身自分が今居る場所なんて分かりゃしないだろう」
「それじゃあ、どうするんですか?」
「ん〜……」
こういう時、人を探すなら颯人の使い魔の力を借りた方が手っ取り早い。アイツらは人や物を探すのにはうってつけ。事実颯人も何か探し物がある時は積極的にアイツらを使っていたくらいだ。
これは一度戻って颯人に使い魔を出してもらうか? そんな事を考えていたその時、奏の耳に誰かのすすり泣くような声が届いた。
「……ん?」
「奏さん? どうし「シッ!」ッ!?」
まだすすり泣く声に気付いていない響に喋るのを止めさせ
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