暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第152話:蘇る過去からの憎悪
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
られているので直ぐに押さえつけられる。
 そしてクリスは、押さえ付けた男の軍服に装着されているナイフを鞘から引き抜き、そのまま男に突き立てようとした。

「〜〜〜〜ッ!!」
「クリス、ダメッ!?」

 ソーニャの制止も聞かず、男をナイフで殺そうとするクリス。だが振り下ろされたナイフは男ではなく、ナイフの下に滑り込んできた透の腕に突き刺さった。

「ッ!? 透ッ!?」
「〜〜ッ!?」

 透の腕を突き刺してしまった事に動揺したクリス。その隙に彼は痛みを歯を食いしばって堪えながら彼女を押し出し、男から引き剥がして宥めようとした。

 男から引き剥がされた事で、クリスは透を押し退けて今度こそ男にトドメを差そうと暴れ始めた。

「放せッ!? 放せ透ッ!? 何でだッ!? 何でそいつを庇うんだよッ!?」

 訳が分からず暴れるクリス。その様子をソーニャは勿論、ステファンも固唾を飲んで見るしか出来ない。

「コイツがッ!? コイツがお前から夢を奪ったのに、何でアタシを止めるんだッ!? コイツの所為で透は、透の夢はッ!?」

 気付けばクリスの目からは涙が零れ落ちていた。憎悪に染まった顔で、涙を流して暴れるクリスからは言葉だけでは言い表せない気迫があり、近付く事が躊躇われる。
 それに怯む事無く透は必死にクリスを宥めようとしているが、今のクリスには透の声も届かないのか落ち着く気配がない。

 このままでは遠からず透が振り払われ今度こそ男が殺される。私怨でクリスに人殺しを差せる訳にはいかないと、颯人達も透と共にクリスを宥めようと彼女に近付こうとした。

 その時、周囲に肌を引っ叩く音が響き渡った。

「あ……」

 音の正体は透の手がクリスの頬を引っ叩いた音。その音が響いた瞬間、まるで周囲の時間が止まった様に誰も何も言えず動けもしなかった。

「と……とお、る…………」

 呆然とした声でクリスが透の事を見ると、彼はまるで鉛でも飲み込んだ様な顔で彼女の事を見ていた。

 その顔を見て、クリスは衝動的に透を突き飛ばしその場から走り去っていた。

「ッ!?」

「あっ! クリス、待って!?」
「おいクリスッ!」

 逃げるように走っていくクリスを咄嗟に引き留めようとしたソーニャと異変を感じてやって来たステファンだったが、これ以上状況がややこしくなると堪ったものではないので颯人は2人に動かないよう指示しつつ、逃げようとしていた男を魔法の鎖で雁字搦めに拘束した。

「なぁぁっ!? もうっ!? アンタらはそこ動くなッ! テメェもだ、絶対動くなッ!」
〈バインド、プリーズ〉
「奏、響ちゃんはクリスちゃんを追えッ! 翼ちゃんはおっちゃんに報告ッ!」
「わ、分かった!」
「はい!」
「直ぐに!
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ