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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第152話:蘇る過去からの憎悪
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浮かんでいた。それを見てか、あるいは単純に堪えていただけなのかどちらからともなく笑い始めた。

「アハハハハッ!」
「フフフフフッ!」

 突如響く笑い声。透も声は出せずとも笑っている。

 颯人達はそれに気付きはするも、あの2人の身に起きた出来事を知っているからか何も言わない。今はああして、昔心に負った傷を少しでも癒してくれればそれでいいと。




 しかし…………彼らは忘れていた。

 このバルベルデはクリスと透の人生を狂わせた、ある意味で全ての元凶の地。

 そこには、嘗ての惨劇の残滓がまだ残っている可能性を、彼らは失念していた。
 いや、失念していたと言うのは言い過ぎか。彼らは想像していなかったのだ。
 過去の因縁が、まさか再び2人の前に姿を現すなど……




「あっ!? 颯人、1人逃げたッ!?」
「えぇっ?」

 突如奏の焦った声が颯人の耳に届く。見ると軍人の1人が両手を拘束されながらも逃げ出そうとしていた。ここで捕まるなど御免だとでも言うのだろう。逃げたところで行く当てなどないだろうに。

「ったく、往生際の悪いこって」

 ボヤキながら颯人はウィザーソードガンを取り出し、そいつの足元に向けて一発撃った。銃弾は颯人の狙い通りに湾曲する軌道を描き、逃げる男の足元の地面を抉り転倒させた。
 逃げようとした軍人はクリス達の近くで転倒し、砂埃を付けながら転がって止まった。

 そんな軍人を前に、クリスは溜め息を吐きながら立ち上がった。

「やれやれ……観念しな。大人しくしてれば…………!?!?」
「クリス?」

 起き上がった男の顔を見た瞬間、クリスは目玉が飛び出すほど目を見開き体をびくりと震わせて動きを止めた。だがよく見ると肩や手の先が小さく震えている。まるで何かを堪えようとしているかのようだ。

 その様子に違和感を感じたソーニャが声を掛けながら彼女の顔を覗き込むと、次の瞬間ソーニャは息を呑んで思わず後退った。

 何故ならクリスの顔は、信じられない位の怒りと憎悪に染まっていたからだ。

「く、クリス……? どうしたの?」
「テメェ……何で、テメェが…………!?」

 震える声を出すクリスに何事かと透も彼女に近付き、そして男の顔を見た瞬間全てを察した。その男の顔には、透も見覚えがあった。

 そう――――――

「何でテメェが、まだ生きてやがんだ…………!?」

 そこに居たのは忘れもしない……否、忘れられる訳も無い。2年前、殆ど個人的な感情で透の喉を切り裂き、彼から声と夢を奪い去ったあの武装組織の男だったのだ。

 気付いた時にはクリスは男に飛び掛かり馬乗りになっていた。突然飛び掛かられた男は反応できず後ろに倒れ、抵抗しようにも両手を縛
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