乱入
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「……逃げ足の速いことで」
いない。
その結果に落胆しながら、狂三は周囲を見渡す。
消化不良。このまま帰るまでに、参加者を二、三人始末しようかと考えていた時、すぐ近くに光る物が見えた。
「これは……」
それは、銀。
ウィザーソードガン。ウィザードが見せたように、銃身を折り曲げると、確かに刃が飛び出し、ソードモードにも変形した。
「あらあら……これは、いい拾い物をした、ということになりますわね」
このまま持って帰って、自身の戦力にしてもいいが。
再び影に潜ろうとしたところで、狂三はその動きを止めた。
「そういえば、これは何ですの?」
ウィザーソードガンの傍ら。
松菜ハルトのもう一つの落とし物である紙。封筒のように折りたたまれたそれを開くと、丁寧な『お誕生日おめでとう ハルト君』の文字が現れた。
「あらあらあら。お手紙ですわね……彼、お誕生日に誘拐されたんですの? 全くついてないですわね」
狂三はひらひらと手紙を振り、懐に収納する。そのまま一度、ウィザーソードガンを見下ろし。
「きひひっ、少し面白いことをしてみましょうか」
狂三はウィザーソードガンを顔の高さに持ち上げ、銃口を押し当てる。
「刻々帝 一〇の弾」
そして、ウィザーソードガンの銃身へ発射される。
刻々帝 その十番目の弾丸の能力は回顧。撃ち抜いた対象が持つ記憶をたどることを可能にするのだ。
そしてそれは、相手が無機物だろうが関係なく作用する。
「松菜ハルトさん。あなたの記憶を見せてもらいますわ。ウィザードの弱点でも探し……ん?」
狂三はそこで、首を傾げた。金の時計盤が刻まれた目の針は、時間の逆戻りを示すよう、ずっと反時計回りを繰り返している。
そして。
「……これは……!?」
目を大きく見開き、狂三はウィザーソードガンを胸元に下ろす。
ウィザーソードガンを見下ろしながら、狂三は呟いた。
「松菜ハルト……あなたは、一体……?」
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