第九十八話 母の法事その五
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「いいわね」
「わかってるわ、それは」
最初からという風にだ、咲も答えた。
「私だってアウトローは嫌だしね」
「絶対に入りたくないでしょ」
「そっちの世界はね」
「そうよ、人間真っ当に生きるのが一番だからね」
それでとだ、母はさらに言った。
「そんなアウトローの人にはね」
「近付かないことね」
「あっちから来たら避けるのよ」
「そうすることね」
「そうした人達は本当に論外で」
「普通の人達の中でよね」
「立派な人を見て」
そうしてというのだ。
「尊敬してね」
「そうしていくことね」
「ええ、そうしてその人を目指して」
「努力して」
「立派になることよ」
「それがいいことね」
「そういうことよ」
「そうよね、そういえば」
ここで咲は速水のことを思い出した、彼の極めて整っているが何処か陰のあるその姿を思い出して言うのだった。
「バイト先の店長さんって表の世界にいる筈なのに」
「あの奇麗な人ね」
愛が応えた。
「占い師は色々な人とお付き合いするから」
「だからなの」
「表の世界にいてもね」
それでもというのだ。
「裏の世界のことも知ってるでしょうし」
「そうなのね、そういえば」
咲は速水とはじめて会った時のことを思い出して愛に話した。
「あの人麻薬の密売人ってすぐにわかったし」
「その人を知っていたのよね」
「どうした人かってね」
「それってね」
愛は咲のその話を聞いて述べた。
「裏の社会を知っているから」
「その人のこともなのね」
「知っていたってことね」
「そういうことね」
「私が聞いてもね」
速水はというのだ。
「その人いい人でも」
「裏の世界のこともなのね」
「知ってるわね、どうも謎もね」
これもというのだ。
「多い人ね」
「そうした人かもね」
咲も否定出来なかった、速水のことを考えると。
「どうも」
「まあそうした人もいるのよ」
「世の中には」
「表の世界にいる様で」
愛はそれでいてと話した。
「裏ともね」
「関りがある人が」
「その境界にある様な」
「そんな人もいるの」
「表と裏って明確に区分されているか」
それはというと。
「実はそうでもね」
「ないのね」
「黒と白にしても」
愛は今度は色に例えて話した。
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