暁 〜小説投稿サイト〜
X ーthe another storyー
第十六話 交流その十五

[8]前話 [2]次話
「君もそろそろな」
「部内の幹部の試験をですね」
「そうだ、受けてみないな」
「そうしてですね」
「幹部にならないか」
 こう言うのだった。
「君の様な人物こそな」
「幹部に相応しいですか」
「そうだ、だからな」 
 それでというのだ。
「今度受けてみないか」
「何年かそう言われていますが」
 草薙は隊長に微妙な顔になって述べた。
「俺もそろそろです」
「いい頃だとだな」
「はい、一等陸曹にもなりまして」
 それでというのだ。
「歳もです」
「三十になったな」
「そろそろかと思いまして」
「今度受けてくれるか」
「そうさせてもらいます」
「君は曹候補学生出身だしな」
 二年で下士官になるコースである、自衛隊にはこうしたコースで入隊する課程も存在しているのだ。
「元々だ」
「幹部にですね」
「なることが前提で入隊しているからな」
「だからですね」
「君もだ」
 是非にというのだ。
「なって欲しい」
「そうさせてもらいます」
 隊長に素直に答えた。
「今度の試験を」
「宜しく頼む、そうなるとな」
「それからはですね」
「久留米に言ってな」
 福岡県のその街にというのだ。
「そこの幹部候補生学校でだ」
「教育を受けて」
「そしてだ」
「俺も幹部ですか」
「そうだ、幹部になったらな」
 隊長は草薙に優しい笑顔で話した。
「君はこれまで以上に国民の人達をな」
「守る様になりますね」
「そうなる、その時はな」
「はい、より一層頑張ります」
 ここでもだった、草薙は本音を隠して答えた。
「そうなれば」
「そうしてくれ」
「俺は人間が好きですから」
 本音、この時はこれを出して答えた。
「そうします」
「まずは我々がな」
「いざという時は頑張らないといけないですから」
「宜しく頼むぞ、君みたいな人間が幹部になってくれれば」
「一層ですか」
「多くの人達を助けられる」
 有事にはというのだ。
「だからな」
「はい、試験受けさせてもらいます」
「君の実力なら絶対に合格する」
 それだけの学力が備わっているというのだ。
「だからな」
「受けてですね」
「これからも国民の為に頑張ってくれ」
「出来る限りそうします」
 地の龍である、だがそれでもだった。
 草薙はこう答えた、隊の中での彼はあくまで心優しい自衛官として生き彼自身そうでありたいと思っていたのだった。


第十六話   完


                      2023・2・15
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ