4話 出会い
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ハッとして目を開けると、俺は不思議な場所にいることに気付いた。
目の前には、なんとなく"空"が広がっていると感じた。
だが、何も見えないし、何かがあるとも思えなかった。雲も、青空も、星たちも、見えないし気配がない。真っ白な……いや、白じゃなくて透明か?よくわからない。空間か、と言われてもなんとなく違う気がする。そんな、変な感じを覚えた。
下方向に向かって手のひらをついて、体を支えながら起き上がる。ついた手は空をきることはなく、またその手がどこまでも沈んでいくこともなかった。
どうやら、ここにはある程度の硬さを持つ床があるらしい。体を起こして気付いたが、遥か彼方の方にまるで地平線のような色の境目が一本見える。床があるのか、と怯えなくとも、しっかりとこの面は向こうのほうまで続いてそうだ。一つ安心だ。
さて、もう少しこの場所に対する理解を深めるために辺りを見回してみよう、と横を向いたところで______一人の怪しげな男と目があった。驚きのあまり、声を発することもできず、見合ったまま数回瞬きを繰り返す。
男について、最初に目に入ったのはブロンドのくせっ毛。後ろで一つに束ねているが、毛束のいくつかがはねていたり、まとめきれていない。あまり身だしなみには気を遣わないのだろうか、と思ったが、まとっている黒いローブにはほこりも毛もついておらず、しっかりと手入れされているようだった。中に着込んでいるハイネックのセーターも、ほつれや毛玉が一切ない。もしかすると、誰かに世話を任せているような金持ちなのだろうか。
ああ、もう一つ変なところを見つけてしまった。男は首から十字架を下げていた。こんな意味わからない場所まで来てわざわざ宗教勧誘か、布教活動というのは大変なんだなと感心しかけて、いや違うなと冷静になる。
しばらくお互い一歩も動けないままいると、不意に男は不思議そうな顔をしながら首を傾げた。
なんだ、この人も俺と同じでこの状況を理解していないんだ。宗教勧誘をしたいわけでもなさそうだ。それなら協力してここを抜け出す術を探そうと頼んでみるのが良さげ______
「私、寝てる間についに犯罪やらかしちゃった?」
「は」
「えっと、どうしよう。君ゼッタイ未成年だよね。っていうか同意なんてしてないよね。はーっ、まずい、まずいことになった」
意味がわからない。とにかく、頭が追いつかなかった。話が飛躍しすぎている。あまりのおかしさに、開いた口が塞がらなかった。
だが、頭のおかしい宣教男の方がもっと混乱しているようだ。「まずい」「誘拐犯になるのは……」とぼやいている。
うーん、と少しの間悩んで、俺は対話を求めることにした。
「待って、話を聞いてほしい」
「あ、うん。なんだい?」
「俺は別にアンタに誘拐され
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