第六百九十八話 本当に全くわからないその六
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「少なくとも俺は方言のことは知らなかった」
「薩摩星系の」
「実家にもそちらのお客さんが来たと思うが」
経営している水族館にというのだ。
「しかしな」
「それでもなのね」
「少なくとも俺は会ったことがなくてな」
「それでなのね」
「この前はじめて聞いてな」
「驚いたのね」
「そうだった」
実際にというのだ。
「俺は」
「そうだったのね」
「ああ、本当に驚いた」
驚きを隠せない顔の言葉だった。
「何かとな」
「日本語なのかって」
「日本語には自信があった」
これは喋るからだ。
「だから日本語の方言もな」
「わかってたのね」
「アイヌの方言もわかってな」
そうしてというのだ。
「普通にやり取りが出来たからな」
「それでなのね」
「本当に日本語ならな」
「大丈夫と思っていたの」
「それがだ」
彰子に深刻な顔で話した。
「全くわからなくてな」
「驚いたのね」
「心からな」
そうしたというのだ。
「本当にな、またあちらの人と会ってもな」
「わからないのね」
「話す自信がない」
最早という言葉だった。
「全くな」
「そうなのね」
「驚いた、西郷さんや大久保さんはああした言葉を使っていたか」
「絶対にね」
「黒田清隆さんや松方正義さんもな」
即ち薩摩出身の人達はというのだ。
「幕末から明治は多かったが」
「有名な人がね」
志士そして明治政府の要人達の中にだ。
「東郷平八郎さんもだし」
「あの人も薩摩だったな」
「山本権兵衛さんだって」
海軍の領袖であったこの人物もというのだ。
「そうだったしね」
「それで普段はか」
「公の場を離れたら」
その時はというのだ。
「もうね」
「薩摩星系の方言だな」
「昔で言うなら薩摩弁ね」
「それを喋っていたんだな」
「そうなのよ」
「そうか、東郷さんといえばな」
ダンはこの提督のことを思って言った。
「日本の英雄だな」
「紛れもなくね」
「その通りよ」
二人でダンに答えた。
「日清戦争、日露戦争の英雄の一人よ」
「乃木大将と並ぶ」
「乃木大将は陸でね」
「東郷元帥は海でそうよ」
「そうだな、乃木大将も凄かったが」
この時代ではそう評価されている、難攻不落と呼ばれた旅順要塞を五ヶ月で攻略し奉天での奮闘評価されてのことだ。
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