第九十七話 東京のお盆その十四
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「それでも飲んでだったんだ」
「実際に」
「ああ、だからお酒を飲んでもいいが」
「程々ね」
「さもないと身体に悪いんだ、お父さんもな」
今は飲んでいるがそれでも言うのだった。
「飲まない日も多いだろ」
「というか飲む時は沢山飲んでも」
「飲まない日の方が多いだろ」
「そうよね」
「そうした方がいいんだ、お盆はよく飲むがな」
法事等がありそうした日になるがというのだ。
「ちゃんと飲まない日もな」
「置くことね」
「さもないとな」
「横山やすしさんみたいになるのね」
「最悪な」
「そうなのね」
「漫才は凄かったんだ」
西川きよしと二人で行ったそれはというのだ。
「もう本当にな」
「天才だったの?」
「そうだった、東京の人間から見てもな」
関東と関西ではお笑いが違うと言われている、これは歌舞伎もそうであり関西の方は上方文化であることも大きい。
「面白かった」
「そうだったの」
「今は関東も関西も面白くないがな」
「お笑いは」
「けれどな」
それでもというのだ。
「あの人達のお笑いは面白かった」
「そうだったのね」
「だから残念だ、それで咲もだ」
「飲んでも程々に」
「それが身の為だ」
「あらゆる意味で」
「そうなんだ、じゃあな」
父は娘にあらためて言った。
「明日はお母さんの方に行くからな」
「そちらの法事ね」
「日帰りで行くぞ」
今回もというのだ。
「明日もな」
「わかったわ、日帰りですぐに行き来するのが」
「東京に代々暮らしている人間のお盆だ」
「そういうことね」
「こうしたお盆もあるんだ」
焼酎を飲みながら笑ってだ、父は言った。
「お盆も一つじゃないんだぞ」
「田舎に里帰りするばかりじゃないのね」
「ああ、近所に実家があるならな」
「日帰りで行き来してもいいのね」
「そうしたものなんだ、実家の場所は自分じゃどうにも出来ないだろ」
娘に笑って話した。
「それは」
「そうね、お祖父ちゃんのお家とかね」
「どうにもならないだろ」
「自分ではね」
咲もそれはと答えた。
「どうしようもないわ」
「だからな」
「こうしたお盆もある」
「そう考えたらいいんだ、日帰りで行き来出来るなら」
それならというのだ。
「家にいられるし楽だろ」
「そうよね」
「それが旅行になるって人もいるわよ」
母も言ってきた。
「けれど旅行は旅行でね」
「楽しむのね」
「そうすればいいのよ」
「旅行は旅行ね」
「そうよ、咲も旅行好きでしょ」
「そう言われたらね」
咲も事実好きなのでそれで答えた。
「好きよ」
「だったら旅行は旅行でね」
「楽しんだらいいのね」
「そうよ、何処に行くにもね」
「それはそれね」
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