第九十七話 東京のお盆その十一
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「やっていけないからね」
「だからお仕事してる時に飲んでもいいのね」
「欧州は朝から飲んでるしね」
「ああ、ドイツでもね」
咲は今度はこの国から来ている同級生のことを思い出した。
「朝からビールよね」
「そうでしょ」
「何で食欲ないと」
その時はというのだ。
「ビールに生卵入れてね」
「飲んでね」
「朝ご飯にするのよね」
「そうだしね、他の国でもよ」
欧州のというのだ。
「朝から飲むから」
「ロシアもいいのね」
「むしろロシアは寒いだけに」
「尚更なのね」
「ソ連の時でもね」
色々な規制があった時もというのだ。
「お酒は自由だったのよ」
「飲んでよかったの」
「何時でもね」
「そうだったのね」
「あそこでお酒飲むなって言ったら政権倒れるからな」
父は真顔で言った、見れば今は焼酎を飲んでいる。
「本当にな」
「えっ、そうなの」
「ゴルバチョフはお酒を飲まないで働けと言ったから人気がないしな」
「ソ連も潰れたの」
「ロシア人は大抵のことは我慢出来るらしいな」
「それロシアから来た娘も言ってたわ」
実際にとだ、咲も答えた。
「そうじゃないと生きていけないって」
「あそこはな」
「お家とお仕事とパンとお酒があったら」
「ロシア人はいいな」
「何でも基本無欲で」
これはロシア人の特色の様だ、ロシア人の国民性は素朴で無欲で親切であるとされている。そして暖かいという。
「その四つがあったら」
「我慢出来るな」
「それでお酒はね」
「ないとな」
「もう駄目だって」
「そうだ、だから酒を飲むなと言うとな」
ロシアではというのだ。
「政権が倒れるんだ」
「それでゴルバチョフさんも人気なかったの」
「ソ連を潰したことも言われているけどまずはな」
「そのことがあったの」
「ロシアでは飲まないとな」
酒、それをというのだ。
「やっていけないんだ」
「そうしたお国柄ってことね」
「ただ飲み過ぎてな」
父は焼酎をストレートで飲んで塩辛を食べながら話した。
「道で寝るとな」
「ロシアで?」
咲はそう聞いてすぐにこう言った。
「それってね」
「わかるな」
「マイナス二十度位でそれって」
「凍死するからな」
「絶対にそうなるわよね」
「交通事故よりそうなる人が多いからな」
ロシアではというのだ。
「そのことは注意しないとな」
「駄目なのね」
「日本でも冬だと危ないだろ」
父は冷静に述べた。
「冬に道で寝たらな」
「凍死するわよね」
「ホームレスの人は夏以外は夜はひたすら歩くんだ」
「夜寝ると凍死するから」
「それで歩いて身体を温めるんだ」
身体を動かしてだ、歩くこともそれはそれでいい運動になるのだ。
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