暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーAP
女湯編 エージェントガール&レジスタンスガールズ 後編
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。あなたもそう思うでしょう? ヘレン。

 下衆な悪党達に向けて吐き出される、あの冷酷な皮肉。凶悪な怪人達を妖艶に射抜く、凛々しくも蠱惑的な眼光。獣欲塗れの男達に包囲されても、決して怯まぬ気高い勇姿。そして、ノバシェードの戦闘員すら一撃で昏倒させる鋭い蹴り技の数々。そんな「師匠」の背中は今も、かつての「弟子」であるヘレンの記憶に深く焼き付いている。

 ――あなたのように、純粋で真っ直ぐな眼をしている子は好きよ。そういう子にこそ、平和な世界を謳歌して欲しいのよね。彼らのような汚物が全て駆逐された後の、清らかな世界を。

 その強さと気高さが、改造人間達に対する苛烈な「憎悪」に由来していることを、ヘレンは本人から聞かされていた。約12年前の2009年頃、当時16歳だった真凛は優れた身体能力に目を付けられ、旧シェードに誘拐されていた。しかしその後間も無く、改造人間の適性が無いことが発覚し、当時の傘下にあった人身売買組織に売り払われたのだという。
 両親を殺され自身も拐われた挙句、後からその価値も無かったと言われ、美貌と身体だけは金になるからと犯罪組織に売り渡されたのだ。これほど人間の尊厳を破壊する行いが、かつてあっただろうか。その後、「買い手」の慰み者にされる寸前で隙を見て逃げ出し、レスキュー隊に保護され生還した真凛は、やがてノバシェード対策室の特務捜査官にまで登り詰めたのである。

 両親の復讐。未来の被害者達の救済。混じり合う正義感と復讐心の赴くまま、旧シェードの再来を騙るノバシェードへの憎悪を原動力に、彼女は12年に渡る鍛錬の成果を存分に発揮していたのである。彼女が普段から身に付けているチャイナドレスも、犯罪組織を通じて闇の有力者に買われた際に着せられたものを、敢えてそのまま使っているのだという。その日に味わった恥辱の記憶を、憎しみの炎を、決して忘れないために。

 ――待って、真凛! あなた、本当にこれでいいの!? 対策室を辞めてしまうなんてっ……!

 しかし。その女傑は己の正義に固執するあまり、上層部の命令に背いてでもノバシェードの追跡に執着し続けるという、ジークフリートにも通じる危うい一面を秘めていた。その結果、最も多くの成果を挙げた対策室のトップエースでありながら、約1年前に命令違反の累積が祟り「追放」されてしまったのである。

 ――ヘレン。私はもう十分、好きにさせて貰ったわ。短い間だったけど、思うがままに自分の正義を貫けた。あなたも、あなたが信じるもののために戦いなさい。

 ――真凛っ……!

 ――あなたの正義なら、きっと皆に認めて貰えるわ。あなたを鍛えた私が保証してあげる。達者でね、ヘレン。

 自分を鍛えてくれた恩人が、自分よりも遥かに優秀だった特務捜査官が、戦いの中で孤独な「正義」に染まり、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ