フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第三十六話 戻ってきた現実、されど・・・
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で桜火と話していくが、そんなことはお構いなしに桜火は言葉を続ける。
「≪SAO≫を開発したアーガス。SAO事件が起こった後、事件の補償で莫大な負債を抱え会社は消滅。その後、SAOサーバの維持を委託されたのがレクトのフルダイブ技術研究部門と聞いている」
「そうだよ。だから、なんだい?」
「なら、そこの主任を務めているあんたなら、未だに目が覚めない三百人がどうしてるかわかるんじゃないのか、と思ってな」
「ああ、そのことかい。残念ながらそう上手くはいかないよ。SAOサーバに掛けられたプロテクトは誰にも解くことはできなかった。だから維持するだけで精一杯なのさ」
「そうか・・・無能か・・・」
ボソッと呟いた桜火の言葉を聞いた須郷伸之の表情が先ほどまでと比べて明らかに人を見下したような表情へと一変した。
「(いや、一変したというより被っていた仮面を脱いだ、というほうが正しいか)」
「言ってくれるねぇ・・・わかっていないようだから教えてあげようか?未だに眼が覚めない三百人の命を握っているのは僕だよ。その三百人を生かすも殺すも僕しだいってことさ」
イヒヒッ、と薄気味悪く笑う彼を見ながら桜火は溜息を吐いた。
「あんた、今さっきSAOサーバには強力なプロテクトがかかってるから手が出せないって言ったばかりじゃないか。そんなことで命を握ってるとか言われてもねぇ。結局のところ、あんたにも何もできないんじゃない?」
だが、桜火の言葉を聞いても須郷伸之は薄気味悪い笑いをやめようとはしない。
「ヒヒヒッ!これだから力のないガキってのは面白いよ、まったく」
桜火を見下して笑いながらそう言うと踵を返していく。
「精々そう思いたければそう思っておくんだね、最強の剣士クン」
去り際にそれだけ言い残して須郷伸之は病室を出て行く。須郷伸之が病室を出て行ったあと、桜火は不敵な笑みを浮かべて弾むような声で呟いた。
「手掛かりゲット」
◆
寝ている明日奈に「お大事に」と一声かけ病院を後にした後、東京都品川区にあるとあるマンションの前に桜火はいた。そのマンションは外見ですでに高級マンションであることがわかる。
「ホントにここでいいのかよ・・・」
残念ながら桜火の呟きに答えられるものはいない。唯一手掛かりになるであろうメモに狂いはなく、自分が曲がった場所にいるということもなさそうであった。姉に渡された住所が書いてあるメモとマンションを見比べることしかできず、おもわず病院に行く際に姉に言われたセリフを思い出していだす。
『私が今品川に住んでるから、用事がすんだらおいで』
「・・・・・・もう、いいや。とりあえず入ろう」
考えても仕方がないのでマンションの中へと歩を進めていく桜火。
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