第二部 1978年
歪んだ冷戦構造
F5採用騒動 その1
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ータを得る観点からも、ソ連の暗殺隊から降りかかる火の粉を払うにも、MIG-21バラライカの研究は必要だった。
故に海のものとも山のものとも知れないF5フリーダムファイターに関しては好きになれなかったのだ。
フランス語の資料を一瞥したマサキは、わざとらしく嘆いて見せた。
「装甲板が薄すぎる。俺の求めるものではないな」
「ムッシュ木原。
でもあなたは、米海軍が採用を目指しているF14の開発者であるハイネマン博士にお会いになったばかりではありませんか」
男の質問に、マサキもいささか慌てた。
「俺は、あの男と話をする前に、レバノンで火遊びをした。
ニューヨークに帰った後、そのまま、ボンに来てしまったからな……」
男は、マサキの話をじっと聞いている風だった。
叱責の一つでも、言われた方がどれだけ楽か。
重苦しい無言に押しつぶされそうだった。
「ただし、ダッソーとの研究ノウハウは俺も欲しい。貴様らとの関係も続けたい。
既存のジェットエンジンから、レイセオンのエンジンで強化する案などは気に入った」
男は感情の読み取れない目でこちらを見た後、微笑を浮かべて、手を振った。
「では、後日。パリの首相府において、またお目にかかりましょう」
と、早々にいとまをつげて、部屋へ返っていった。
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