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イベリス
第九十七話 東京のお盆その一

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                第九十七話  東京のお盆
 お盆になるとだ。
 咲は家族と共に法事に赴いた、まずは父方の方だったが。
「何かね」
「すぐにだな」
「お祖父ちゃんのお家に行けるから」
 板橋区に向かいつつ話した、母も一緒である。
「里帰りっていうかね」
「ちょっと行く位だな」
「足立区からね」
 自分達が住んでいるその区からというのだ。
「北区越えてね」
「すぐだな」
「そうだから」
 それでというのだ。
「何度行ってもね」
「里帰りって気がしないな」
「そうなのよね」
 こう父に言うのだった。
「どうも」
「そうだな、だから楽だな」
「ええ、行き来するのはね」
「けれどお前は里帰りはか」
「田舎に帰るって意識があったから」
 それでとだ、咲は父にもこう話した。
「だからね」
「それでか、けれどお父さんは東京生まれでな」
「お母さんもでね」
「里帰りはな」
「東京の中ね」
「それでいいだろ、お父さんは東京にいてな」
 父は咲に生粋の東京人として娘に話した。
「本当にな」
「いいのね、お父さんは」
「そうだ、行き来も楽だしな」
 このこともいいと言うのだった。
「地下鉄を使ったらな」
「それね、山手線と地下鉄あるから」
「東京は行き来が楽だな」
「慣れないと迷路みたいだっていうけれど」
 それでもというのだ。
「けれどね」
「東京で生まれ育っているとな」
「もうそのまま頭に入るからね」
 東京にずっといるとだ、その地理は自然と頭に入ってインプットされるということだ。地理には交通もあるのだ。
「私だってね」
「もう何でもないな」
「ええ、今も地下鉄で行ってるしね」
 実際にというのだ。
「帰りもね」
「勿論地下鉄でな」
「そうよね」
「電車の数も多いしな」
 人口が多いだけにだ、その数も極めて多いのだ。
「一両乗り過ごしてもな」
「またすぐ来るしね」
「だからな」
 それでというのだ。
「地下鉄もいいんだよ」
「そうよね」
「じゃあな」
「今日もね」
「地下鉄を使って行ってな」
 父の実家に行ってというのだ。
「そして法事に参加するんだ」
「それでその後はね」
「宴会するからな」
「飲んで食べて」
「こうした時はお寿司ね」 
 母がここで笑って言った。
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